蚊の培養細胞における日本脳炎ウイルスの増殖に関する研究

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タイトル別名
  • Multiplication of Japanese Encephalitis Virus in Cultured Mosquito Cells (<I>Culex pipiens</I>var.<I>molestus</I>)
  • カ ノ バイヨウ サイボウ ニ オケル ニホン ノウエン ウイルス ノ ゾウシ
  • Multiplication of Japanese Encephalitis Virus in Cultured Mosquito Cells (Culex pipiensvar.molestus)

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抄録

Culex pipiensvar.molestusの卵巣組織をOrigmとした株化細胞に日本脳炎ウイルス(JEV)のマウス脳継代馴化株JaGAr-01株と,蚊より分離された新鮮野生株JaOAr-100株,および,JaOAr-121株を感染させ,次の成績を得た.<BR>1.何れのJEV株とも,細胞変性効果を伴なって増殖し,感染4~5日後には,ウイルス量も106~7PFU/mlとなった.なお,JaGAr-01株は,他のウイルス株に較ベ速やかに増殖し,細胞変性効果の出現も早期に認められた.また,JaOAr-121株では,細胞融合の傾向が強く認められた.<BR>2.何れのJEV株とも,持続感染が証明された.即ち,感染3箇月後には105~6PFU/mlのウイルスを培養液中に認め,また,16箇月後においても,なおウイルスを証明する事が出来た.<BR>3.何れのJEV株とも,感染の経過が進むに従い,非感染細胞に比較して,Acid phosphatase活牲の顕著な増加が,形態学的にも,定量的にも認められた.また,Acid phosphatase活性の上昇は,細胞変性効果に先行して証明出来た.<BR>4.何れのJEV株とも,感染16~20時聞後に,抗JaGAr-01株免疫家兎血清のγ-Gとの間に,螢光抗体法による特異螢光を核膜周辺部に認めた.<BR>5.感染細胞の電子顕微鏡による観察ては,ウイルスの増殖に先立ちpermuclear gap,あるいは,r-ERの一部が著明に発達し,嚢状となり,感染時間の経過とともにこれらの内腔には単層の小胞状,小管状構造が出現し,外被を持った直径45~50mμの成執ウイルス粒子が観察された.感染末期には,嚢状構造は崩壊した原形質より風船様に遊離し,その構造の一部には外側に直径23~28mμの電子密度の高い粒子と,その内腔には,膜に接した成執ウイルス粒子を観察した.<BR>6.免疫電顕法による観察ては,感染後48時間には,成熟ウイルス粒子は勿論,細胞膜表層,および小管状,小胞状構造の内面にも抗原陽性部位が認められた.

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