保存不可能な上顎右側側切歯を伴う骨格性上顎前突症例

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タイトル別名
  • Skeletal Class II Case with Hopeless Upper Lateral Incisor
  • 症例報告 保存不可能な上顎右側側切歯を伴う骨格性上顎前突症例
  • ショウレイ ホウコク ホゾン フカノウ ナ ジョウガク ミギガワガワ セッシ オ トモナウ コッカクセイ ジョウガク ゼントツショウレイ

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抄録

不正咬合の治療において永久歯の抜去を必要とする場合,通常は上下顎第一小臼歯を選択することが多い.しかし,形態異常や失活歯,重篤な齲蝕を有する歯などが存在する場合,これらが抜歯の対象となり得る.そのような場合,非対称な左右での歯種の違いや,歯肉ラインの乱れなどの審美的な問題,かつ,適正な下顎運動路など機能的な問題を考慮する必要がある.本症例は初診時年齢27歳3か月の女性,上顎の前突感および叢生を主訴に来院した.保存不可能な上顎右側側切歯を伴う骨格性上顎前突症例である.叢生,正中線の不一致および水平的被蓋改善のため,保存不可能な上顎右側側切歯,上顎左側第一小臼歯および下顎両側第二小臼歯を抜去し,マルチブラケット装置による治療を行った.本症例においては,上顎右側犬歯が低位唇側転位のためその移動量および唇側歯槽骨の非薄化から歯の移動による歯肉退縮の可能性があり審美的な面が損なわれることが懸念されたが,歯の移動のみで審美的かつ機能的咬合が得られた.しかしながら,保定に影響を及ぼす要因には歯周組織の再編,咬合,軟組織と硬組織のバランスなどが挙げられるように,今後も下顎運動時の咬頭干渉に留意しながら長期経過を確認していく必要性が考えられる.

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