<b>新しい増粘剤およびゲル化剤の開発 </b>

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  • <b>Development of New Thickeners and Gelators </b>

抄録

増粘剤,ゲル化剤と呼ばれる低分子化合物について紹介した。増粘剤は溶媒に添加することでその粘性を上げる働きをするものであり,ゲル化剤は溶媒をゲル化(固化)することのできる化合物である。増粘化やゲル化の原動力は水素結合,静電相互作用,ファンデルワールス力,π-π相互作用などの非共有結合である。ゲル化が起きるときは水素結合やπ-πスタッキング,ファンデルワールス力などを通してゲル化剤分子が自己集合し高分子様の会合体を形成する。結晶化とゲル化は親密な関係にあることを述べ,その類似点と相違点を詳述した。増粘現象が発現するときも高分子様の会合体が形成されるが,三次元ネットワーク構造を形成しない。この三次元ネットワーク構造形成の欠如が増粘という珍しい現象を惹き起こす原因である。トリス(3,7- ジメチルオクチル)-1,3,5- ベンゼントリカルボキサミドはヘキサンに対し際立った増粘作用を示す。また,トリス(3,7- ジメチルオクチル)-cis-1,3,5- シクロヘキサントリカルボキサミドは四塩化炭素,シクロヘキサン,ベンゼン,ピリジンに対し増粘化を起こす。5- アミノイソフタル酸ジメチルから合成した1- オクタデシルアミノ-3,5- ビス(2- エチルヘキシルアミノカルボニル)ベンゼンはヘキサン,シクロヘキサン,芳香族溶媒,メタクリル酸メチル,スチレン,軽油に対し増粘化を起こす。また,トランス-1,2- ジアミノシクロヘキサン誘導体,アミノ酸誘導体,環状ジペプチド誘導体のゲル化剤を紹介した。trans-1,2- ビス(ウンデシルカルボニルアミノ)シクロヘキサンは多くの溶媒をゲル化できる優れたゲル化剤であり,自己組織化した左巻きのらせん構造体を形成する。N- ベンジロキシカルボニル-L- イソロイシンやL- バリンのオクタデシルアミドもまた優れたゲル化剤であり,熱可逆的ゲルを形成する。人工甘味料から合成したシクロ(L- アスパラギニル-L- フェニルアラニル)誘導体もまたよいゲル化剤である。ヒドロキシヘキシルセグメントを含んだシクロ(L- アスパラギニル-L- フェニルアラニル)はチキソトロピー挙動を示すヒドロゲルを形成する。また,オリゴジメチルシロキサンセグメントを含む誘導体はチキソトロピー挙動を示すオルガノゲルを形成する。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205461424896
  • NII論文ID
    130004648243
  • DOI
    10.11364/networkpolymer.31.308
  • COI
    1:CAS:528:DC%2BC3cXhsF2itbvE
  • ISSN
    2186537X
    13420577
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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