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- 岩田 修二
- 立教大学観光学部
書誌事項
- タイトル別名
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- Mapping Features of Fedchenko Glacier, the Pamirs, Central Asia from Space
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説明
さまざまなインターネット情報,とくにGoogle Earthの立体画像やGoogle Mapの等高線地図によってフェドチェンコ氷河の地形特徴を明らかにできるようになった。これらの情報と1970年代のソビエト陸軍の地図(1:100,000)を用いると,ロシア語圏以外の人々にはあまり知られていないフェドチェンコ氷河の氷河地形学的側面が理解できる。フェドチェンコ氷河はパミールの北西部の山岳地にある長さ77㎞の巨大な谷氷河で,偏西風によって大西洋からの湿気によっておもに冬に涵養される。フェドチェンコ氷河は革命峰(6,940m)の西側斜面の海抜5,400 mから始まり北に流れ高度2,900mの末端で終わる。氷河下流区間(末端から30㎞まで)は表面岩屑に覆われた細長い氷舌で,中流区間(30㎞地点,高度4,050mから45 ㎞地点,高度4,500mまで)は南東から北西に流下し多くの支氷河を合わせる。中間地点の最上部の右岸には,氷河本流が東側にあふれ出し小規模な氷舌(タヌィマス末端)を形成している。上流区間(45㎞から流域上端まで)は,非対称形である。右岸側には革命峰を含む6,000m級の山塊になっているが左岸側には顕著な高まりがなく,氷河に覆われた緩やかな分水界を経て,南西側の谷氷河へと通じている。氷河の上流区間を含む流域は小規模な氷原,または横断型氷河系を形成しているが全体としてみると,フェドチェンコ氷河は谷氷河である。氷河下流区間で本流に接しているビバーク氷河(パミール最高峰イスモイル=ソモニ,7,495mがある)では,繰り返し氷河サージが起こっている。人工衛星画像の比較によれば,1990年代以後のフェドチェンコ氷河の末端の縮小はおこっていない。氷河変動の状況はカラコラム山脈の大型氷河とよく似ている。フドチェンコ氷河がこのような大きな氷河にまで発達したのは氷河侵食による流域の争奪が起こったからと考えられる。
収録刊行物
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- Geographical Studies
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Geographical Studies 84 (1), 33-43, 2009
北海道地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205461605376
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- NII論文ID
- 130004991286
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- NII書誌ID
- AA12293841
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- ISSN
- 21865450
- 18822118
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- NDL書誌ID
- 10456893
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可