心身症に伴う行動障害を持つ子どもとその家族の再生過程と家族の耐久力の特徴

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タイトル別名
  • Family Hardiness and the Regeneration Process of Families of Children with Behavioral Disorders in Psychosomatic Disease
  • シンシンショウ ニ トモナウ コウドウ ショウガイ オ モツ コドモ ト ソノ カゾク ノ サイセイ カテイ ト カゾク ノ タイキュウリョク ノ トクチョウ

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抄録

本研究は, 小児心身症に伴う行動障害を持つ子どもとその家族が, 子どもの行動障害が引き起こした家族の危機的場面を乗り超え, 家族機能の回復に伴う家族の再生過程と, 親子の相互作用から生まれた家族の耐久力 (family hardiness) の特徴を明らかにした. 行動障害を持つ子どもとその家族16例を対象に, 面接治療場面での親子の相互作用の観察と親への半構成面接を同意を得て行い, 記述されたデータを質的帰納的に分析した. 家族内葛藤に対応する中で家族は子どもの症状の進展に合わせた安定と不安定, 親子の関係性の前進, 停滞, 後退を繰り返し, 混沌とした状況の不確かさの中で粘り揺れながら, 子どもとの精神的な分離と結合を繰り返し, 情緒的絆と信頼に基づいた柔軟な心理的距離を構築する子どもと「ともに揺れる」家族の再生過程が明らかになった. この過程は「修羅場」「停滞」「渦からの脱出」という3つのサブプロセスから構成され,「衝突と放棄」「手探りのかかわりと巻き込まれ」「距離の確認と信頼の再構築」という, 行動障害児とその家族が最も快適な心の距離の構築に特徴的な相互作用を含んでいた. また, ストレスや困難を緩和し内的強さを育む家族の耐久力は, 家族の再生の促進と安定した親子の心理的距離を構築する重要な力であった.

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