副腎癌による Cushing 症候群の1例

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タイトル別名
  • CUSHING'S SYNDROME DUE TO ADRENAL CORTICAL CANCER
  • 副腎癌によるCushing症候群の1例--とくにその電顕像について
  • フク ジンガン ニヨル Cushing ショウコウグン ノ 1レイ トクニ ソ
  • とくにその電顕像について

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説明

41歳, 男性. 腰痛, 全身倦怠感を主訴として来院. 入院時血圧150/60mmHg, central obesity, buffaro hump を認め, 内分泌学的およびレントゲン学的検索にて左副腎皮質癌による Cushing 症候群と診断された. 1977年10月19日左副腎摘出術および大動脈周囲リンパ節廓清を施行した. 摘出腫瘍は大きさ12.5×18.0×7.5cm, 重量1,190gであつた. 術後一時的に全身状態の改善をみたが肺, 肝, 脊椎への転移のため術後4カ月目に死亡した.<br>電顕的検索では, 滑面小胞体は減少し, 短管状のクリスタをもつたわずかなミトコンドリアが観察された. この所見を滑面小胞体, 粗面小胞体の発達, 小胞状のクリスタをもつた豊富なミトコンドリアといつた正常な副腎皮質束状帯および網状帯の細胞にみられる所見と比べると本腫瘍の個々の細胞でのステロイド産生能は低下していたことを示唆するものと思われ, 診断の遅れた原因の一つであるかとも推定された. さらには, 腫瘍に関して増殖, 浸潤の面よりみた活性とホルモン産生という機能面よりみた活性は必ずしも平行するものではないことを示していると思われた.

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