膀胱腫瘍におけるABO(H)-antigen

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タイトル別名
  • A, B, O(H) ANTIGEN IN THE BLADDER CARCINOMA
  • ボウコウ シュヨウ ニ オケル ABO H antigen

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抄録

膀胱腫瘍におけるABO (H) isoantigen の動態が, 今後の膀胱腫瘍の動向を予測する上で有力な情報となり得るか否かを検討した. 対象は初発腫瘍に対してTUR-Btを行つた99症例 (表在性腫瘍59症例, 浸潤性腫瘍40症例) で, 対照として非膀胱腫瘍43検体を用いた. isoantigen の検出には specific red cell adherence test (SRCA法) を用いた. 表在性腫瘍のSRCA陽性率は71%で, 浸潤性腫瘍のそれ (41%) をはるかにしのいでいた (p<0.05). 悪性度の上昇に伴い isoantigen の消失率が増加した. 約32カ月の経過観察中, 表在性腫瘍59例中15例 (25.4%) に再発を認め, 4例が浸潤性腫瘍となつた. 悪性度の高い症例ほど再発率が高かつたが, isoantigen の様相と再発率には相関はなかつた. しかし high grade でしかも isoantigen の消失した症例では再発率が高く, 浸潤傾向を持つ症例が多かつた. 再発時に isoantigen の様相が変化した症例は再発例の約半数に認められたが, 大多数が isoantigen 消失の方向に動いていた. 以上の結果より, 膀胱腫瘍におけるABO (H) isoantigen 同定は, 特に初発腫瘍が high grade である表在性腫瘍で抗原の消失した症例や, 再発時に抗原が消失する方向に動く症例に対して, より厳重な経過観察のもとに, 時を逸さぬ根治的治療を行うための一助になると考えられた. 抗原の減少する傾向は悪性化の警告と受けとるべきであろう.

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