治療抵抗性うつ病として入院した概日リズム睡眠―覚醒障害群の1例

  • 柏木 宏子
    国立精神・神経医療研究センター 熊本大学医学部付属病院神経精神科
  • 藤瀬 昇
    熊本大学医学部付属病院神経精神科
  • 渡邉 雅文
    熊本県立こころの医療センター
  • 立花 直子
    関西電力病院 神経内科・睡眠関連疾患センター
  • 池田 学
    熊本大学医学部付属病院神経精神科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case Demonstrating Circadian Rhythm Sleep-Wake Disorder that Was Initially Treated for Treatment-Resistant Depression
  • チリョウ テイコウセイ ウツビョウ ト シテ ニュウイン シタ ガイジツ リズム スイミン : カクセイ ショウガイグン ノ 1レイ

この論文をさがす

抄録

症例は20代女性。中学生の頃から朝起きられないことがしばしばあった。就職後1~2ヶ月経た頃から集中困難,倦怠感が強まり,仕事を休むようになった。うつ病と診断され,抗うつ薬,気分安定薬および増強療法などを十分量十分期間投与されたが,効果なく,治療抵抗性うつ病として当科入院となった。睡眠日誌,アクチグラム,終夜睡眠ポリグラフィー,深部体温検査の検査結果から,概日リズム睡眠-覚醒障害群(CRSD)が疑われた。向精神薬をすべて漸減,中止し,生活療法(太陽光,対人接触,食事などの同調因子の強化)を実施した。睡眠・覚醒リズムの大きな改善はみられなかったが,抑うつ症状は改善した。退院後はメラトニン受容体アゴニストの内服と,パートナーとの共同生活により,活動性は高まり抑うつ症状もみられない状態を維持している。治療抵抗性のうつ病を経験した場合は,CRSDを考慮して睡眠日誌などに注目することも必要と考えられた。

収録刊行物

参考文献 (4)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ