研究 二峰性T波の成因に関する実験的研究

  • 西村 昌雄
    名古屋保健衛生大学総合医科学研究所心臓血管部門
  • 渡部 良夫
    名古屋保健衛生大学総合医科学研究所心臓血管部門
  • 戸田 仁
    名古屋保健衛生大学総合医科学研究所心臓血管部門

書誌事項

タイトル別名
  • An experimental study on the genesis of bifid T waves

この論文をさがす

説明

二峰性T波の成因を知るためウサギ摘出心で双極誘導心電図と心外膜面心室筋細胞膜電位を同時記録し,T波の各峰(aT1,aT2)と心室再分極過程の時間的関係を検討した.(1)11例中9例で左室と右室の80%再分極終了時間はそれぞれaT1,aT2を申心に分布し,その平均値がQ-aT1およびQ-aT2値にほとんど一致することから,aT1は左室,aT2は右室の再分極に依存することが示唆された.(2)11例中1例でaT1が後壁,aT2が前壁の再分極を,(3)残る1例ではaT2が右室前壁心基部,aT1が他部心室筋全体の再分極を反映する成績が得られた.(1)群の例で低K+や,低Ca++あるいはprocainamide灌流,心房早期刺激を行っても,左右心室再分極過程とaT1,aT2との密接な相関は維持された.単峰性または二峰性T波例で左または右冠動脈灌流域を選択的に冷却すると,低温部の再分極遅延にaT2が同期する二峰性T波が作製された.以上より二峰性T波の発生は一部心室筋再分極過程の生理的あるいは病的遅延に基づくものと結論された.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 12 (4), 391-400, 1980

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ