症例 三心房心の2乳児例

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タイトル別名
  • Two infants with cor triatriatum

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説明

症例!は4カ月の男児で,断層心エコー図で左房内に異常隔壁状エコーを認めた.術所見では,本来の左房と副室とが広い範囲で結合していること,心房中隔の偏位がないことから三心房心(Lucas&Schmidt IIA)と診断した.術後の断層心エコー図では,心尖部よりの四腔像で左房はほぼ正常の形態を示しており,心房中隔が右房側に偏位している総肺静脈還流異常症心臓型の術後とは明らかに異なっており,1つの鑑捌点と思われる.<BR>症例2は生後3日の女児で,断層心エコー図では左房内に拡張した冠静脈洞とその頭側に異常隔壁を認めた.心臓カテーテル・心血管造影検査を行い,心室中隔欠損,心房中隔欠損,動脈管開存,左上大静脈遺残を合併した三心房心と診断し手術を行ったが,救命できなかった.<BR>三心房心は,年齢層が広く,本来の左房と副室との間の交通孔の大きさがその一因と考えられているが,自験例を含めた本邦11乳児例では,交通孔は7例で直径3.5mm以下であり,従来の報告に合致していた.また,乳児期の三心房心は,断層心エコー図で総肺静脈還流異常症や僧帽弁弁上狭窄との鑑別が重要であり,検討を加えた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 20 (3), 281-286, 1988

    Japan Heart Foundation

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