症例 心外膜アプローチ法による副伝導路離断術

書誌事項

タイトル別名
  • Application of an epicardial approach technique to the posteroseptal type Wolff-Parkinson-White syndrome: Report of a case
  • 後中隔型WPW症候群症例への適用

この論文をさがす

説明

WPW症候群に対する手術治療術式として,我々は心外膜側より副伝導路を凍結することにより離断する心外膜アプローチ法を積極的に適用し,良好な成績を得ている.従来の心内膜アプローチ法と違ってこの方法によれば,(1)開心,心停止を必要とせず,左心型であっても心拍動下に手術できるためδ波消失の瞬間を心電図モニターで見ながら確実に副伝導路離断ができる.また,(2)右心型はもとより左心型であっても通常人工心肺を用いずに無輸血で手術できるため,より非侵襲的であり,合併症も少ないという利点を有している.1986年まで12例の自由壁型症例に対しこの心外膜アプローチ法を適用し,11例で副伝導路離断に成功した.(1例は心内膜アプローチを併用して離断した.)さらに今回,右後中隔型の1症例に対し心外膜アプローチを適用し,人工心肺を使用せずに手術を行い得た.<BR>すなわち,crux部房室弁輪脂肪織をAV nodal arteryが真の心房中隔に入りこむところまで十分に剥離し,詳細な弁輪部マッピングを実施,同定された副伝導路部位を-80°で凍結した.副伝導路は離断され,術後δ波および頻拍発作の発現をみていない.自由壁型に加え,従来の心内膜アプローチでは必ずしも成績良好といえない後中隔型に対し心外膜アプローチが成功したことの意義は大きいと思われる.この経験により,中隔型を含めてどの部位の副伝導路に対しても心外膜アプローチ法の適用を考えうることが示唆された.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 20 (9), 1102-1109, 1988

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ