症例 血性心嚢液による心タンポナーデをきたしたSLEの1例

書誌事項

タイトル別名
  • A systemic lupus erythematosus patient with cardiac tamponade due to a hemorrhagic pericadial effusion

この論文をさがす

説明

40歳,女性.1989年6月上旬より38-39℃ の発熱,動悸,全身倦怠感を,7月下旬より呼吸困難,起坐呼吸を認め,8月18日症状増悪し入院.心拍数154/分,心胸郭比77%,断層心エコー図で多量の心嚢液貯留を認め,血圧は80/62mmHgに低下し,奇脈(吸気時に収縮期血圧が14mmHg低下)を呈しており心タンポナーデと診断された.緊急心膜穿刺にて血性心嚢液(細胞診class II,細菌なし)を約800ml排液後,心拍数125/分,心胸郭比68%に軽減し心嚢液貯留は消失していた.そして血圧は130/80mmHgに安定し症状も改善した.検査成績:WBC3,000/Mm3,Hb9.5g/dl,Plt6.3×104/mm3,ChE428IU/l,ICG60.72%,TP9.1g/dl,A/G0.46,HPT32%,TT30%,fT3 4.2pg/ml,fT4 2.35ng/dl,C3 45mg/dl,C4 14mg/dl,CH50 28.6単位,LEtest(+),抗核抗体1,280倍D,抗DNA抗体180 U/ml.甲状腺エコー;"慢性甲状腺炎"の像.肝生検;自己免疫性の慢性活動性肝炎.以上の所見よりSLE(自己免疫性の慢性活動性肝炎,慢性甲状腺炎の合併)と診断し,プレドニゾロン30mgとチアマゾール30mgの治療にて臨床症状,検査成績ともに改善した.血性心嚢液による心タンポナーデをきたしたSLE症例は,諸外国で8例,本邦で5例の報告しかなくまれと考えられた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 23 (11), 1303-1309, 1991

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ