症例 心筋壊死を併発した急性テオフィリン中毒の1例
書誌事項
- タイトル別名
-
- A case of acute theophylline intoxity with myocardial necrosis
この論文をさがす
説明
症例は58歳女性.自殺目的にてテオフィリン徐放製剤(テオドール(R))を6,400mg服薬,14時間後に, 嘔吐, 頭痛を主訴に受診. 意識レベルI-1(Japan Coma Scale),血圧150/110mmHg,脈拍108/分,血中テオフィリン濃度65.9μg/ml,心電図ではII,III,aVF,V2~V6誘導で著明なST上昇を認めたが,心臓超音波検査では壁運動に異常は認められなかった.服薬48時間後にSTは基線に復帰し,II,III,aVF,V2~V6誘導においてT波は陰性化した.経過中胸痛の訴えはなかった.心筋逸脱酵素は軽度の上昇を示し,CPKの最高値は服薬34時間後で432IU/l,CK-MBの最高値は21時間後で48IU/l,第5病日に測定したミオシン軽鎖は4.2ng/mlと高値を示した.第12病日に施行した冠動脈造影では有意狭窄を認めなかった.エルゴノビン負荷試験では左前下行枝seg7における80%冠攣縮が誘発されたが,胸痛や心電図変化等の急性心筋虚血の症状,所見は認められなかった.また,左室造影上壁運動には異常を認めなかった.本例における心筋障害の機序としては,従来報告されているようなテオフィリン過量により冠攣縮が誘発された可能性以外に,テオフィリン自体による直接の心毒性の存在も示唆された.このような報告は,我々が検索し得た範囲内ではなく,若干の文献的考察を加え報告する.
収録刊行物
-
- 心臓
-
心臓 30 (3), 165-170, 1998
Japan Heart Foundation
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205489051264
-
- NII論文ID
- 130004136093
-
- ISSN
- 05864488
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可