症例 左冠動脈前下行枝と右冠動脈の完全閉塞を伴った大動脈弓閉鎖症の1症例

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  • A case of aortic arch atresia associated with complete occlusion of left anterior descending artery and right coronary artery

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抄録

症例は50歳男性.主訴は呼吸困難.20年前より高血圧を指摘され,平成2年12月より労作時息切れが出現するため入院した.入院時現症:上肢血圧130/90mmHg,下肢血圧28/0mmHgと上下差はみられるも,左右差はなかった.心拍数98/分,整.両肺野に湿性ラ音,心尖部に第3,第4心音を聴取した.胸部X線上,両肺野のうっ血を認め,心胸郭比は70%と拡大.心電図は前壁心筋傷害と左脚前枝ブロックを示した.心血管造影検査では,上行大動脈は下行大動脈との移行部で完全に閉塞し,下行大動脈は両側内胸動脈を介する豊富な側副血行により造影された.さらに冠動脈造影検査上,左冠動脈前下行枝と右冠動脈の完全閉塞がみられ,これらの血管は左回旋枝からの側副血行を受けていた.以上,本症例は冠動脈閉塞を伴った大動脈弓閉鎖症の1亜型と診断した.これら3動脈の閉塞は発生学的に興味が持たれるため報告した.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 25 (11), 1301-1306, 1993

    Japan Heart Foundation

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