症例 心房解離の1剖検例

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical and postmortem studies on a patient with atrial dissociation

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説明

心房解離は極めて稀とされる.我々は脳卒中発症後うっ血性心不全を来たし,死亡した64歳男子に.一過性心房解離を認めたので報告する.死亡14日前の心電図では,2種類の互いに独立した心房波がみられた.第1の心房波(P波)は頻度81/分一定PQ間隔(0 .22秒)でQRS波に先行,以前に記録した心電図の洞性P波形と類似し,洞起源と考えられた.第2の心房波(P波)は頻度100/分(P'-P'間隔0.58・0.61秒)で,その起源は左房褒上部と推測された.P'波を生じた刺激は心室へ伝導されず,また両心房調律間には相互干渉は認められなかった.このような所見より,この不整脈を心房解離と診断した.<BR>心臓病理所見では,Bachmann東およびcoronarysinus bundleに中等度ないし高度の線維化が認められた.これら心房間伝導路の線維性杜絶により,右房から左房への刺激伝導が杜絶したため,心房解離が生じたと考えられた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 8 (10), 1061-1066, 1976

    Japan Heart Foundation

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