HEART's Original [臨床研究] 膜性部心室中隔欠損症に対する自己心膜パッチ閉鎖の検討

  • 篠原 玄
    埼玉県立小児医療センター心臓血管外科
  • 野村 耕司
    埼玉県立小児医療センター心臓血管外科
  • 松村 洋高
    埼玉県立小児医療センター心臓血管外科
  • 中村 譲
    埼玉県立小児医療センター心臓血管外科

書誌事項

タイトル別名
  • Early result of autologous pericardium patch closure for perimembranous ventricular septal defect

説明

目的:近年,心室中隔欠損症(ventricular septal defect;VSD)閉鎖パッチとして自己心膜を用いた報告は少ない.当施設では,術後パッチ感染,溶血,などの合併症が少なく,遺残短絡消失の点でも期待がもたれる未処理の自己心膜パッチを, 2005 年4月より単純な膜性部周辺型VSD に使用しており, 早期成績を従来のパッチ閉鎖と比較検討する.<br>対象と方法:2004年4月から2006年3月までに孤立性の膜性部周辺型VSDに対しパッチ閉鎖を施行した17例〔月齢:1~81(4±18.9)カ月〕.<br>自己心膜パッチを用いた自己心膜群9例〔術後観察期間11~19(153±2.9)カ月〕,従来の馬心膜またはePTFEパッチを使用した対照群8例〔同23~34(27±3.9)カ月〕に対し,VSD径,パッチ径,パッチ瘤化の有無,遺残短絡の有無と程度を検討した.<br>結果: VSD 径は自己心膜群5 ~ 1 1 ( 7.7±1.9) vs 対照群5~8 (6.5±1.0) mm (p=0.058), パッチ径はそれぞれ,10~20(13.2±3.8)mm vs 9~12(10.3±0.9)(p=0.015)と自己心膜群で有意に大きなパッチが使用された.パッチの瘤化,ballooningは両群に認めなかった.遺残短絡は自己心膜群で退院時に8カ所を認め,6カ月の消失率は25%,12カ月75%であった.対照群では退院時に3カ所を認め,同消失率は0% ,66%であった.<br>結語:自己心膜パッチによるVSD閉鎖術後15カ月の観察で瘤化はみられなかった.退院時遺残短絡は自己心膜群に8カ所認めたが15カ月で87.5%に自然閉鎖がみられ,馬心膜パッチと同等以上,またePTFEパッチよりも速いペースの自然閉鎖が期待される.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 40 (5), 450-456, 2008

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205492016256
  • NII論文ID
    130004416269
  • DOI
    10.11281/shinzo1969.40.5_450
  • ISSN
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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