術後感染症に対するセファマイシン系抗生物質セフメタゾールの評価

書誌事項

タイトル別名
  • EVALUATION OF THE EFFECT OF A CEPHAMYCIN ANTIBIOTIC AGENT, CEFMETAZOLE, FOR THE POSTOPERATIVE INFECTIONS
  • ジュツゴ カンセンショウ ニ タイスル セファマイシンケイ コウセイ ブッシツ

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説明

周知のとおり, 1960年代の中頃以降, 広域スペクトラムの合成ペニシリン剤, セファロスポリン剤の使用量が増加するとともに, これら薬剤に対して自然耐性であるか, もしくは耐性を獲得しやすい性質をもつた菌が生き残つてきた結果として, グラム陰性桿菌感染症が増加し, 広く注目される様になつた。<BR>一方, 近年に至りR因子の感染によるセファロスポリン耐性菌が見出されるようになり, これら耐性菌の増加が今後, 治療上深刻な問題を投げかけることは予想に難くないものと思われる。<BR>従つて, 現在有効性を保つているセファロスポリン系薬剤にしてもβ-Lactamase (Cephalosporinase) 産生菌が増加してきたばあいには, 治療上大きな支障をきたす結果となり, セファロスポリン系薬剤にβ-Lactamase抵抗性を示す性質を附与した薬剤の登場が望まれるゆえんである。<BR>セフメタゾール (商品名: セフメタゾン, CMZ) は, 1972年にStreptomycesから単離されたセファマイシンC系抗生物質であり, セファロスポラン酸の7位にメトキシ基をもつことで従来のセファロスポリンC系とは異なる新規抗生物質であり, β-Lactamaseに対し強い抵抗性をもつていることが明らかとなつている。<BR>セフメタゾールのもつ特長としては,<BR>1. β-Lactamaseに対する抵抗性が強く, 耐性大腸菌を含むβ-Lactamase産生菌に対しても強い抗菌力をもつ。<BR>2. グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して優れた抗菌力をもち, さらに従来のセファロスポリン系およびペニシリン系抗生物質が無効なIndole (+) Proteus, Serratiaなどにも強い抗菌力をもち殺菌的に作用する。<BR>3. 嫌気性菌, 特にペニシリン系およびセファロスポリン系抗生物質の効力が弱いBacteroides fragilisに有効である。<BR>4. 筋・静注により高い血中濃度が得られ, 代謝されずに活性型のまま尿中に速やかに排泄される。<BR>5. 動物実験において一般毒性はきわめて弱く, 腎毒性もセファロリジン, セファゾリン (CEZ) よりはるかに少ない。<BR>構造式, 化学名は図1のとおりである。<BR>私たちは, 以上の特長をもつセフメタゾールについて, 術後の感染症を主なテーマとして検討した。

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