HEART's Original [症例] クエン酸シルデナフィルの投与で肺高血圧の改善を認めた特発性肺動脈高血圧症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of idiopathic pulmonary arterial hypertension, reduction of pulmonary pressure treated by sildenafil

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説明

患者は75歳,男性.主訴は労作時呼吸困難. 2003年に他院にて特発性肺動脈高血圧症と診断され, 塩酸ジルチアゼム,ベラプロストナトリウム,ワルファリンの投与と在宅酸素療法を受け,以後,当科外来で経過観察されていた.2004年10月,右心不全症状が出現し,フロセミド,スピロノラクトンの投与で軽快していた.しかし,2005年1月,再度,労作時呼吸困難が出現するようになった.三尖弁逆流速度から推定される肺動脈収縮期圧は102mmHgと著明に上昇しており,肺高血圧の進行による症状増悪と考えられた.エポプロステノールナトリウムの導入を考慮したが,了解が得られなかったため,クエン酸シルデナフィルの導入目的で急性投与試験を施行した.クエン酸シルデナフィル50mgの経口投与にて三尖弁逆流速度から推定される肺動脈収縮期圧は95mmHgから70mmHgまで低下を認めた.慢性効果を期待してクエン酸シルデナフィル25mgを2錠,朝夕で投与を開始した.以後,トイレ歩行などの軽労作時の呼吸困難の軽減を認め,BNPも586pg/mLから138pg/mLへと低下を認めた.重症肺高血圧症に対してクエン酸シルデナフィルは有効な薬剤であり,エポプロステノールナトリウム導入困難な患者には考慮すべき薬剤であると思われた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 38 (7), 721-726, 2006

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205492552448
  • NII論文ID
    130004415709
  • DOI
    10.11281/shinzo1969.38.7_721
  • ISSN
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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