アロキサン糖尿ラットにおける血中脂質およびリポ蛋白値の変化

書誌事項

タイトル別名
  • Changes in Serum Lipid and Lipoproteins in Alloxan-diabetic Rats
  • ―一年にわたる経過検討―
  • —Studies for One Year—

抄録

通常飼料および0.25%コレステロール添加飼料で飼育したアロキサン糖尿ラットの血中脂質およびリポ蛋白値の変化をアロキサン投与後12ヵ月まで検討した。糖尿ラットの血清インスリン値は3~51U/m尼で正常ラットの1/5~1/10であり, 血糖値は約10倍であった。食餌摂取量は1.5~2倍であったが体重はやや低下傾向を示すもののほぼ一定で変化は認められなかった。糖尿ラットでは血中脂質, 特にコレステロールとトリグリセライド値が著しく増加した。燐脂質値もほぼ平行して増加したが, コレステロール値の増加が大きかったためにコレステロール/燐脂質比 (C/P比) は増加した。リポ蛋白も糖尿ラットでは増加し, 通常飼料飼育群で正常ラットの5~10倍, コレステロール飼料飼育群で10~15倍に増加した。カイロミクロン, VLDL, IDL, LDLなどは増加したがHDLは逆に低下した。これらの変化はコレステロール飼料飼育群で更に顕著であった。糖尿ラットでは各リポ蛋白画分のトリグリセライド値は増加したが, コレステロール値の増加が著しく, 従ってトリグリセライドの割合は低下した。しかし, 燐脂質の割合はほぼ一定であった。糖尿ラットではIDLの増加およびIDL画分のコレステロール値の増加が顕著であった。糖尿ラットではリポ蛋白リパーゼに対するVLDLの反応性 (遊離脂肪酸の生成) は正常ラットの1/2以下に低下していた。結論として, 糖尿ラットの脂質代謝異常としてトリグリセライドの増加がみられたが, それ以上にコレステロールの増加が顕著であった。上述の変化はアロキサン投与後3ヵ月で既に発現し, 以降12ヵ月に到る迄ほぼ一定であり, リポ蛋白も含めた脂質代謝異常が経時的に増悪するものではないことが明らかとなった。

収録刊行物

  • Experimental Animals

    Experimental Animals 43 (2), 217-226, 1994

    公益社団法人 日本実験動物学会

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