実験動物用飼料の消化率と代謝エネルギーの測定にもとづく適正なエネルギーの評価について

  • 鈴木 敏明
    新潟大学大学院自然科学研究科 日本農産工業 (株) 中央研究所筑波試験場
  • 清水 正導
    日本農産工業 (株) 中央研究所筑波試験場
  • 石橋 晃
    新潟大学大学院自然科学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Proper Energy Evaluation of Commercial Laboratory Animal Diets Based on Digestibility and Metabolizable Energy Values
  • ジッケン ドウブツヨウ シリョウ ノ ショウカリツ ト タイシャェネルギー ノ

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抄録

我国では, 市販の実験動物用固形飼料のエネルギーを評価するのに, エネルギー換算係数を適用する場合が多い。この適用が妥当であるか否かを検討するため, 10種の市販の実験動物用飼料につき, それぞれ対応するラット, イヌ, ウサギ, モルモットを用いて, 粗蛋白質, 粗脂肪, 可溶無窒素物, 炭水化物 (可溶無窒素物+粗繊維) の見掛けの消化率と窒素補正代謝エネルギー (MEn) を測定した。また, 市販飼料に使用される主要な原料を含む12種の飼料原料の粗蛋白質, 粗脂肪の真の消化率をラットで測定した。各栄養素の見掛けの消化率は飼料中の粗繊維含量の増加とともに低下した。MEnは, 飼料により乾物当たり2.18~3.75kcal/gとなった。慣用されている4, 9, 4のエネルギー換算係数を飼料の化学分析値に適用して得たエネルギーの計算値を, MEnと比較すると, 計算値は実測値の1.04から1.39倍の高い値を示した。全ての市販飼料は, エネルギー換算係数の適用の前提となる高い消化率を示さず, また, 飼料原料も前提を満足する消化率を示したものは少なかった。このことから, 市販の実験動物用飼料へのエネルギー換算係数の適用は飼料のエネルギーを過大に評価することになり, 適正ではないことが明白となった。これに代わるエネルギーの評価法として, 各々の実験動物飼料につき対応する動物でMEnを実測することが望ましいと考えられる。

収録刊行物

  • Experimental Animals

    Experimental Animals 39 (4), 557-564, 1990

    公益社団法人 日本実験動物学会

被引用文献 (4)*注記

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