実験動物の活性化部分トロンボプラスチン時間の測定条件および接触因子の比較研究

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タイトル別名
  • Comparative Studies of Measuring Condition of Activated Partial Thromboplastin Time and Contact Factors in Experimental Animals
  • ジッケン ドウブツ ノ カッセイカ ブブン トロンボプラスチン ジカン ノ ソ

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説明

イヌ, ウサギ, モルモット, ラット, およびマウス血漿の活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT) を測定し, それぞれ最短の凝固時間を示す血漿と活性化剤との接触時間すなわち最適接触時間をヒトのそれと比較検討した。モルモット, ラットおよびマウスの最適接触時間は15~30秒, 他の動物では5~10分でヒトと同程度かまたは長めであった。最適接触時間の条件下で測定したAPTTはヒトおよびマウスでは約30秒と比較的長く, 他の動物では10~20秒と短かった。これらの種差の原因を明らかにする目的で動物血漿の各接触因子 (第XII, XI因子, 高分子キニノゲン (HMWK) およびプレカリクレイン (PK) ) 活性を測定するとともに各因子の接触相におよぼす影響を検討した。接触因子活性は種差が著しく, 一般的にイヌおよびモルモットでは高く, ウサギおよびマウスでは低かった。また, 各接触因子の接触相に対する接触反応様式をみる実験においては, 第XII, XI因子およびHMWKでは凝固時間に大きな種差を認めたが, 最適接触時間には著明な差は認めなかった。一方, PKでは最適接触時間にのみ動物間の差がみられた。これらのことから, APTTの測定時における最適接触時間に種差がみられる原因は, 動物の各接触因子の活性ならびに凝固反応様式の違いに起因していることが判明した。以上より, 動物血漿APTT測定に際しては動物固有の活性化時間を予め設定することの必要性が指摘された。

収録刊行物

  • Experimental Animals

    Experimental Animals 38 (3), 221-229, 1989

    公益社団法人 日本実験動物学会

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