歩行異常マウスの発見と維持

書誌事項

タイトル別名
  • The Observation of Rolling Mouse Nagoya (<I>rol</I>), a New Neurological Mutant, and its Maintenance
  • ホコウ イジョウ マウス ノ ハッケン ト イジ
  • The observation of rolling mouse Nagoya (rol), a new neurological mutant, and its maintenance

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説明

乳仔死亡の多発を特性とするSIIIとC57BL/6Ngaとを交配し, この交配の後代に, 歩行異常マウスを発見した。このマウスの症状は, 生後10-14日に見い出され, 特に後肢の運動のアンバランスが著しく, 横転を繰り返した。交配実験の結果, この症状は常染色体単純劣性遺伝子rol (Rolling mouse Nagoya) によって支配されていることがわかった。症状からみて, Rollingは, 小脳性失調と推察され, 疾患モデル動物として利用できるものと考えられた。<BR>Rollingの雌は, 妊娠可能で交配に使えるが, 繁殖能力や哺育能力は正常個体に比べ劣った。Rolling雄は交尾動作が不調で交配に使えなかった。哺乳期に正常個体と同居させておくとRollingの成育はよくなかった。<BR>疾患モデルになるようなミュータント系実験動物では, 維持用, 生産用, 実験供試用の動物集団をはっきり区別して取り扱い, 維持用の場合には, 遺伝子の保存を中心に考え, 近交退化が加わる場合にはヘテローシスが期待できる交配を考える。Rollingでは, 循環交配を入れたcross-intercrossを行なうとよい。生産用としては, congenicあるいはcoisogenicの系統をつくって用い, ここから実験供試動物を得ることがのぞましい。<BR>論文作製にあたって, 当農学部教授近藤恭司博士の助言をいただいた。また平常の動物飼育管理にあたって, 早川つゆ技官の協力があった。ここに記して謝意を表する。

収録刊行物

  • 実験動物

    実験動物 22 (4), 281-288, 1973

    公益社団法人 日本実験動物学会

被引用文献 (7)*注記

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