マウスにおける低体温の維持について

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タイトル別名
  • Maintenance of Hypothermia in Mice
  • マウス ニ オケル テイタイオン ノ イジ ニ ツイテ

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説明

マウスに安定した低体温を長期間にわたって維持させる方法, ならびに得られた低体温マウスをLipovirusに感染させた場合のウイス増殖の様相を検討して, 次の成績を得た。<BR>1) chlorpromazineおよびbarbital sodium投与によるマウス低体温の持続期間は10~30時間にすぎず, また薬剤の反覆投与によっても長期にわたる安定した低体温を維持することはできなかった。<BR>2) マウスを4℃の低温環境におくと, 約31.0℃に体温が降下したのち, 2日目には36.0℃前後に回復して, 8日目以後には正常体温より1.5~2.0℃低い安定した低体温を, 数ケ月の長期にわたって維持することができた。<BR>3) in vitroにて33℃の至適発育温度をもつLipovirusは, 常温飼育の正常体温マウスでは増殖困難であったが, 4℃の恒温室飼育により安定した低体温を示すマウスに感染させた場合には, その肝・脾にて増殖するとともに病変を形成した。従って, in vivoにおいても, マウスの正常体温である約37.5℃の温度はLipovirusの増殖に抑制的に作用するものであり, 低温環境飼育によって招来されたマウスの長期にわたる安定した低体温は, ウイルスの増殖に良好な環境を提供したものといえる。

収録刊行物

  • 実験動物

    実験動物 17 (3), 97-102, 1968

    公益社団法人 日本実験動物学会

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