ミトコンドリアDNA切断型多型によるラットの遺伝的モニタリングの試み

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タイトル別名
  • Genetic Monitoring of Laboratory Rat Strains by Restriction Fragment Length Polymorphisms of Mitochondrial DNA
  • ミトコンドリア DNA セツダンガタ タケイ ニ ヨル ラット ノ イデンテキ

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抄録

実験動物を遺伝的にモニタリングする際の指標として, これまで核ゲノムの遺伝的多型が利用されてきた。最近, 実験用ラットのミトコンドリアDNA (mtDNA) の制限酵素による切断型に多型が存在することが見出された。我々はこれを遺伝的モニタリングの指標として利用することを目的として, 本研究を行った。その結果, (1) mtDNAの切断型に少なくとも7種類の多型 (Aa, Ba, Bb, Cb, Dc, Eb, Fa) が存在すること, (2) 7種類の切断型多型のうちAa, Bb, 及びCbは, 系統間にまたがって分布するのに対し, BaはJcl: Wistar, 及びCrj: Wistar, DcはWKAM/Ms, 及びWKAH/Hkm, EbはJcl: Wistar, FaはLE/Stmにだけ分布することがわかった。以上の結果を総合すると, mtDNAの切断型の多型は, 今後実験用ラットの各系統の遺伝的モニタリングのためのユニークな遺伝的標識として極あて有効に利用できるばかりでなく, 実験用ラットの起源を明らかにする上でも有益な手がかりを与えてくれるものと思われる。<BR>稿を終るに当り, 貴重な実験動物を提供して下さった都立衛生研究所の田山邦昭氏, 国立遺伝学研究所の森脇和郎博士, 埼玉がんセンター研究所の志佐湍博士, またご指導いただきました実験動物中央研究所の加藤秀樹博士, 京都大学の山田淳三博士, 並びに埼玉がんセンター研究所の米川博通博十に感謝いたします。

収録刊行物

  • Experimental Animals

    Experimental Animals 36 (2), 169-175, 1987

    公益社団法人 日本実験動物学会

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