雄ラットの交尾行動に対する覚醒剤メタンフェタミンの影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Methamphetamine on Copulatory Behavior in Male Rats
  • 雄ラットの交尾行動に対する覚醒剤メタンフェタミンの影響〔英文〕
  • オス ラット ノ コウビ コウドウ ニ タイスル カクセイザイ メタンフェタミ

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説明

覚醒剤の性行動に対する報告はヒトに数多くみられるが, 小動物に対するその研究はほとんど行われていない現状である。今回の報告はラットの交尾行動に対する覚醒剤の単回および連続投与の影響について検討したものである。動物には交尾行動の経験を有する生後10週齢のWistar-lmamichi系の雄ラットを用い, メタンフェタミン (単回投与群: 1, 2, 4mg/kg, 連続投与群: 1mg/kg) を腹腔内に投与し, その後90分間の交尾行動を暗期の19時30分より赤色ライト下で観察した。その結果, 単回投与におけるメタンフェタミン1および2mg/kg群の交尾行動パターンは溶媒対照群と同じ傾向を示したが, 4mg/kg群では, マウント, イントロミッションおよび射精回数の有意な減少 (p<0.001) を認めた。この投与群の動物には自発運動の亢進ならびに常同行動の出現が見られた。連続投与, 即ち1週間に1回メタンフェタミソを投与し, 2週間毎に投与直後より交尾行動を観察した結果, 第4回目の観察 (7回目のメタンフェタミン投与直後) では, 射精した動物の割合は溶媒対照群の成績に比較して低い値 (p<0.05) を示し, 第5回目の観察では全動物に射精は認められなかった (p<0.01) 。さらにイントロミッションの割合も第5回目で低値を示した (p<0.05) 。連続投与群の動物には観察期間中, 常同行動の出現は認められなかった。以上の成績より, 覚醒剤メタンフェタミンはラットの交尾行動におけるイントロミッションならびに射精の発現に対して抑制効果を示すものと推測される。

収録刊行物

  • Experimental Animals

    Experimental Animals 40 (4), 447-452, 1991

    公益社団法人 日本実験動物学会

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