通信制生活習慣改善法が睡眠改善に及ぼす効果とその関連要因

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of a non-face-to-face behavioral intervention on poor sleepers and factors affecting improvement of sleep
  • ツウシンセイ セイカツ シュウカン カイゼンホウ ガ スイミン カイゼン ニ オヨボス コウカ ト ソノ カンレン ヨウイン

この論文をさがす

抄録

目的 研究目的は,1)睡眠と睡眠に関連する生活習慣における 1 か月間の通信制習慣改善法の効果を例数を増やして確認すること,および2)その改善効果に影響を与える要因を検討することの 2 点であった。<br/>方法 対象者は,職域で通信制睡眠習慣改善プログラムに参加した,入眠潜時(就眠時刻-就床時刻)と睡眠効率(睡眠時間/就床時間)に問題がある睡眠困難者178人であった。介入法は,小冊子の自己学習と自己設定した目標行動のセルフモニタリングという最小限の行動技法からなる簡便な方法であった。期間は 1 か月間で,やりとりは全て郵送で行われた。介入前後に自己記入式の質問票調査を実施した。介入前後の睡眠指標と睡眠に関係の深い生活習慣の変化を検討した。また,本法の効果に影響する要因を検討するために,対象者を入眠潜時および睡眠効率の平均改善値をカットオフ値として有効群63人と比較群115人に 2 分し,介入前の基本特性,睡眠指標,生活習慣および介入による変化を群間で比較した上で,さらにロジスティック回帰分析を行った。<br/>結果 介入後に,全体で睡眠時間が5.71時間から6.05時間に増加,入眠潜時は18分短縮し,睡眠効率は5.6ポイント向上するなど,先行研究と同等の短期効果が確認された。習慣については 9 項目中 8 項目で望ましくない行動を選択する人の割合が減少した。目標行動としての選択や達成率で群間の差はなかったが,習慣改善個数は有効群2.63個,比較群2.06個と改善群が有意に多かった。ロジスティック回帰分析により,「ベースライン時の入眠潜時」が大きい者,および「定期的な運動の改善」をした者の 2 要因が睡眠改善に影響していることが明らかとなった。<br/>結論 本法における短期効果が確認された。また,本法は介入前に入眠潜時が長く入眠困難を持つ者に対してより有用であること,睡眠指標の改善には特に定期的な運動習慣が重要な役割を持つことが示唆された。本研究の結果から,行動療法による睡眠改善教育は簡便な形であっても実施可能であり,その効果が期待できると考えられた。

収録刊行物

参考文献 (31)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ