介護支援専門員の判断に基づく訪問看護必要者の特徴および必要者における訪問看護利用の実態と利用者・非利用者の比較

  • 永田 智子
    東京大学大学院医学系研究科地域看護学分野
  • 田口 敦子
    東京大学大学院医学系研究科地域看護学分野
  • 成瀬 昂
    東京大学大学院医学系研究科地域看護学分野
  • 桑原 雄樹
    東京大学大学院医学系研究科地域看護学分野
  • 村嶋 幸代
    東京大学大学院医学系研究科地域看護学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Actual situation and characteristics of clients judged to need home-visiting nurse services by certified care managers and comparison of users and non-users of such services
  • カイゴ シエン センモンイン ノ ハンダン ニ モトズク ホウモン カンゴ ヒツヨウシャ ノ トクチョウ オヨビ ヒツヨウシャ ニ オケル ホウモン カンゴ リヨウ ノ ジッタイ ト リヨウシャ ヒリヨウシャ ノ ヒカク

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抄録

目的 居宅介護支援事業所利用者における,介護支援専門員によって判断された訪問看護の必要者の特徴を明らかにするとともに,訪問看護必要者における訪問看護の利用実態と,利用者・未利用者の特徴を探索し,訪問看護の適切な利用を促進するための基礎資料とすることを目的とした。<br/>方法 2005年11月~2006年 2 月に,A 県の B 保健所管内の 4 市にある全居宅介護支援事業所57か所の介護支援専門員全数に対して調査を実施した。介護支援専門員が担当する要介護 2 以上の利用者について調査票の記入を依頼した。調査項目は,利用者の年齢,性別,要介護度,障害高齢者の日常生活自立度,認知症高齢者の日常生活自立度,介護力,介護支援専門員が判断した訪問看護の必要性,訪問看護の利用状況などである。訪問看護の必要性,および,必要ありとされた者の中での訪問看護の利用の 2 つを従属変数として,単変量解析およびロジスティック回帰分析を行った。<br/>結果 回答のあった居宅介護支援事業所は40か所(回収率70.2%),回収件数は1,288人であり,うち1,224人を最終的な分析対象者とした。介護支援専門員が訪問看護を必要と判断したのは537人,実際に訪問看護を利用していたのは328人であった。訪問看護の必要性ありと判断された対象者は,必要なしの対象者に比して,年齢が若く,神経難病が多く,医療処置を有する患者が多く,要介護度が高く,障害高齢者の日常生活自立度が重く,最近半年の入院が多く,同居家族が無く,介護力が無く,主介護者が75歳以上の者が多かった。一方,訪問看護必要ありのうち実際に利用していたのは59.0%にとどまり,医療処置を有する患者が多く,認知症高齢者の日常生活自立度が自立・Iの者が多かった。<br/>結論 介護支援専門員が訪問看護を必要と判断したケースのうち,実際に利用しているのは59.0%にとどまっていた。訪問看護必要性の判断には,医療の必要性以外に家族状況など多様な変数が関連していた。一方,必要者の中では,日常生活自立度が低い者・医療処置がある者で利用が多く,認知症がII以上の者で利用が少なかった。必要性があるのに利用していない理由としては,利用者の知識や認識の不足,他サービスとの競合などが考えられ,訪問看護の利用を促進するにはこれらへの対策が必要であることが示唆された。

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被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (24)*注記

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