子どもの食行動・生活習慣・健康と家庭環境との関連:文部科学省スーパー食育スクール事業の結果から

  • 中堀 伸枝
    敦賀市立看護大学 富山大学大学院医学薬学研究部疫学・健康政策学講座
  • 関根 道和
    富山大学大学院医学薬学研究部疫学・健康政策学講座
  • 山田 正明
    富山大学大学院医学薬学研究部疫学・健康政策学講座
  • 立瀬 剛志
    富山大学大学院医学薬学研究部疫学・健康政策学講座

書誌事項

タイトル別名
  • The Relationship between Home Environment and Children's Dietary Behaviors, Lifestyle Factors, and Health: Super Food Education School Project by the Japanese Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology
  • コドモ ノ ショク コウドウ ・ セイカツ シュウカン ・ ケンコウ ト カテイ カンキョウ ト ノ カンレン : モンブ カガクショウ スーパーショクイク スクール ジギョウ ノ ケッカ カラ

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抄録

目的 近年,核家族化や女性の労働参加率の増加など,子どもの家庭環境をめぐる変化は著しく,子どもの食行動や生活習慣,健康に影響を与えていると考えられる。本研究では,家庭環境が子どもの食行動や生活習慣,健康に与える影響について明らかにすることを目的とした。<br/>方法 対象者は,文部科学省スーパー食育スクール事業の協力校である富山県高岡市内の 5 小学校の全児童2,057人とその保護者を対象とした。2014年 7 月に自記式質問紙調査を実施した。総対象者中,1,936人(94.1%)から回答が得られ,そのうち今回の研究に関連した項目に記載もれのない1,719人を分析対象とした。家庭環境を,「母の就業」,「家族構成」,「暮らしのゆとり」,「朝・夕食の共食」,「親子の会話」,「子の家事手伝い」,「保護者の食育への関心」,「栄養バランスの考慮」,「食事マナーの教育」とした。家庭環境項目を独立変数,子どもの食行動,生活習慣,健康を従属変数とし,ロジスティック回帰分析を行った。<br/>結果 母が有職であり,共食しておらず,子が家事手伝いをせず,保護者の食意識が低い家庭では,子どもが野菜を食べる心がけがなく,好き嫌いがあり,朝食を欠食し,間食が多いなど子どもの食行動が不良であった。親子の会話が少なく,子が家事手伝いをせず,保護者の食意識が低い家庭では,子どもが運動・睡眠不足があり,長時間テレビ視聴やゲーム利用をしているなど,子どもの生活習慣が不良であった。暮らしにゆとりがなく,親子の会話が少なく,子が家事手伝いをせず,保護者の食意識が低い家庭では,子どもの健康満足度が低く,朝の目覚めの気分が悪く,よくいらいらし,自己肯定感が低いなど,子どもの健康が不良であった。<br/>結論 子どもの食行動の良さ,生活習慣の良さおよび健康には,良い家庭環境が関連していた。子どもの食行動や生活習慣,健康を良くするためには,保護者の食意識を高め,親子の会話を増やし,子に家事手伝いをさせるなどの家庭環境を整えていくことが重要である。

収録刊行物

被引用文献 (2)*注記

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