在宅高齢者における生活機能に関連する要因

  • 神宮 純江
    福岡市健康づくりセンター(元福岡市西保健所)
  • 江上 裕子
    福岡市西区保健福祉センター(元福岡市西保健所)
  • 絹川 直子
    九州大学医学部医療情報部
  • 佐野 忍
    福岡市早良区保健福祉センター(元福岡市西保健所)
  • 武井 寛子
    福岡市西区保健福祉センター(元福岡市西保健所)

書誌事項

タイトル別名
  • FACTORS RELATED TO FUNCTIONAL CAPACITY IN COMMUNITY DWELLING ELDERLY PEOPLE
  • ザイタク コウレイシャ ニ オケル セイカツ キノウ ニ カンレン スル ヨウイン

この論文をさがす

説明

目的 地域で暮らす在宅高齢者の健康実態調査に基づき,高次活動能力(生活機能)の年齢による変化と生活機能の維持に関連する因子を分析し,また同地域の老人クラブリーダー群の生活機能等の調査分析も加えて,高齢者の健康な寿命への支援内容を検討することを目的とした。<br/>方法 ①無作為に抽出した65歳以上の高齢者1,000人と②老人クラブリーダー122人を対象に,東京都老人総合研究所開発の活動能力指標・幸福感尺度・生活習慣・健康に関する34項目からなる調査を行った。生活機能に関連する因子の分析には Logistic 回帰分析を用いて多変量的に解析を行った。また老人クラブリーダー群は性・年齢を一致させたコントロール群との比較を行った。<br/>成績 1. 生活機能は年齢階層と負の相関がみられ,後期高齢になるほど低下した。年齢による生活機能の落ち込みは男性に比べて女性で大きかった。特に手段的自立の落ち込みは,女性の高齢後期で顕著であった。<br/> 2. 生活機能を高く(活動能力指標高得点≧12点)維持するのに関連する因子を多変量的に解析した結果,①趣味がある ②夫婦暮らし ③運動をする習慣あり ④老いに対する肯定的態度 ⑤心理的高い安定感 ⑥栄養のバランスを考えて食べる ⑦忙しい方だ ⑧友人・知人と話す機会が週一以上ある,が正の,①年齢階層 ②一人暮らし ③たばこを吸う,が負の因子として抽出された。<br/> 3. 老人クラブリーダー群においてはコントロール群に比べて,年齢による生活機能の落ち込みが緩やかで高齢後期まで高く維持され,また,①趣味あり ②外出ほぼ毎日 ③運動ほぼ毎日 ④友人等の会話ほぼ毎日 ⑤役割あり ⑥忙しい ⑦健康と思う,の頻度割合が,また,⑧モラールスケール総得点 ⑨その下位領域(老いに対する肯定的態度)得点も高かった。<br/>結論 バランス良い食事,運動する習慣,趣味,役割,人との交流の他,肯定的な老いへの態度,心理的に安定感を持つことが高齢者の生活機能の維持に関連する可能性が示唆された。老人クラブリーダー群は生活能力維持の点で,好ましい生活をしていることが推測された。<br/>高齢後期女性の生活機能,特に手段的自立の衰えに対し早期からの予防的取り組みが必要である。

収録刊行物

被引用文献 (9)*注記

もっと見る

参考文献 (30)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ