禁煙の関心度を規定する要因 行動科学的検討

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タイトル別名
  • HEALTH BEHAVIORAL FACTORS RELATED TO THE ATTITUDE TOWARD QUIT-SMOKING AMONG FACTORY WORKERS
  • キンエン ノ カンシンド オ キテイ スル ヨウイン コウドウ カガクテキ ケントウ

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説明

目的 ヘルス・ビリーフ・モデルを構成する 7 つの要因が,禁煙行動への準備状態,すなわち「禁煙への関心度」をどの程度規定するかについて社会心理的に分析した。<br/>方法 京都府北部にある中規模事業所職員810人を対象に,無記名による自記式留め置き式質問紙調査を行った。534人から回答を得(回収率65.9%),今回は女性の喫煙者が少なかったことから,調査内容すべてに回答のあった男性喫煙者239人について分析した。調査内容は,性,年齢,業務の種類,勤務形態,禁煙への関心度(①関心なし②関心あるが 6 か月以内に禁煙考えていない③6 か月以内に禁煙したい),並びにベッカーらによるヘルス・ビリーフ・モデルの規定要因のうち 7 項目(①年齢,②罹患可能性,③重大性,④有効性,⑤障壁,⑥マスメディア,⑦周囲のすすめ)である。分析方法は,対象属性(年齢,業務の種類,勤務形態)別にみた禁煙への関心度と各項目への回答分布等の単純集計を行い,対象の背景を把握した。次いで,禁煙への関心度および 7 つの規定要因のスピアマン相関分析を行った。最後に,多重ロジスティック回帰分析(強制投入法)を行った。<br/>結果 禁煙への関心度は,関心がない39.3%,関心あるが 6 か月以内に禁煙考えていない48.1%,6 か月以内に禁煙したい12.6%であった。屋外および屋内の現場に従事する者は禁煙への関心度が低く,管理職,事務職に禁煙への関心度が高かった。禁煙への関心度と 7 つの規定要因相互のスピアマン相関分析の結果,禁煙への関心度と有意な相関が認められたのは,重大性,有効性,障壁,マスメディア,周囲のすすめであった。多重ロジスティック回帰分析の結果,「関心なし/関心あるが 6 か月以内に禁煙考えていない+6 か月以内に禁煙したい」「関心なし/関心あるが 6 か月以内に禁煙考えていない」「関心なし/6 か月以内に禁煙したい」の組み合わせにおいて,禁煙に関心のある者ほど,喫煙による健康障害(マイナスの有効性)や禁煙によるがん予防効果への認識(積極的有効性)が高かった。それぞれのオッズ比(95%信頼区間)は3.06 (1.76-5.31), 2.78 (1.58-4.90), 4.41 (1.75-11.15) であった。「関心なし/6 か月以内に禁煙したい」では,禁煙への関心度の高い者ほどがんに罹ったらもう助からないという認識(重大性)が有意に高かった。オッズ比(95%信頼区間)は1.88 (1.02-3.46) であった。<br/>結論 ヘルス・ビリーフ・モデルを構成する 7 つの規定要因のうち禁煙によるがん予防効果(有効性)と喫煙による健康障害の重大性への認識は,禁煙への準備状態を高める要因になることが示唆された。

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