分子プレカーサー法を用いたチタンへのアパタイト薄膜形成

  • 山西 泰史
    関東・甲信越支部((医)紀和会)
  • 常田 幸斉
    関東・甲信越支部((医)晟幸会)
  • 和泉 昌義
    中国・四国支部(イズミ歯科医院)
  • 古屋 延明
    関東・甲信越支部(古屋歯科医院)
  • 早川 徹
    日本大学松戸歯学部歯科生体材料学講座 日本大学松戸歯学部口腔科学研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Thin Apatite Coating on Titanium Using Molecular Precursor Method

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説明

分子プレカーサー法はチタン上に薄膜アパタイトをコーティングする新規な方法である.本研究では,カルシウムイオン濃度の異なる2種類のプレカーサー溶液を調整し,チタンへのアパタイトコーティングに与える影響について調べた.分子プレカーサー溶液は,カルシウム-エチレンジアミン四酢酸錯体/アミンのエタノール溶液にジブチルジリン酸塩をCa/P 比=1.67の割合で混合して作製した.そのさいに,カルシウムイオン濃度を0.1mmol/g と0.2mmol/g に変化させた.<br/> 分子プレカーサー溶液をチタン表面に滴下し,その後,600℃で2時間加熱処理した.どちらのプレカーサー溶液でも,チタン上に薄膜を形成することができた.エックス線回折(XRD),フーリエ変換赤外分光スペクトル測定の結果,結晶化されたアパタイト薄膜がチタン表面に形成されており,しかもコーティングされたアパタイト薄膜は炭酸イオンを含有していることがわかった.カルシウムイオン濃度0.2mmol/g のプレカーサー溶液でのアパタイトコーティング膜のXRDパターンのピークの強度は,カルシウムイオン濃度0.1mmol/g のプレカーサー溶液でのアパタイトコーティング膜のピークよりも強度は大きかったものの,カルシウムイオン濃度の異なる2種類のプレカーサー溶液の間で,薄膜形成に大きな違いはみられなかった.無処理チタンおよびアパタイトコーティングチタンを擬似体液に浸漬すると,それぞれの表面上にハイドロキシアパタイト結晶が析出した.無処理チタンに比べて,アパタイトコーティングチタン上でより多くのアパタイト結晶の析出が確認された.アパタイトコーティングチタンは無処理チタンよりも生物学的特性に優れていることが予想される.本研究の結果,プレカーサー溶液のカルシウムイオン濃度の違いは,チタン上でのアパタイトコーティングに大きな影響を与えないことがわかった.

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参考文献 (17)*注記

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