市町村における歯科保健事業とメタボリックシンドローム関係医療費との関連

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タイトル別名
  • Relationship between community-based dental health programs and health care costs for the metabolic syndrome
  • シチョウソン ニ オケル シカ ホケン ジギョウ ト メタボリックシンドローム カンケイ イリョウヒ ト ノ カンレン

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抄録

目的 歯周病は糖尿病や虚血性心疾患等と深く関わりがあるということが明らかになってきた。そこで今回,市町村での歯科保健事業とメタボリックシンドローム関連疾患の医療費との関係を検討した。<br/>方法 平成 9 年度 5 月分および平成19年度 5 月分の岡山県内市町村別国民健康保険受給対象者(40歳以上)の診療報酬明細書データを用いた。すべての診療報酬明細書について主病名として病名を 1 つのみ割り当て,病名ごとに,受診件数,受診日数,総費用額を算出した。その結果をもとに被保険者数を分母として,市町村ごとの 1 人あたり費用額を算出した。岡山県内全27市町村を歯科保健事業の有無別に 2 群に分け,各群で 1 人当たりメタボリックシンドローム関連医療費を算出した。歯科保健事業は「歯科検診を含む基本健診」等の10項目であった。<br/>結果 介護予防事業と歯周疾患健康相談を実施した市町村ではメタボリックシンドローム関連疾患の医療費が10年間で減少し,実施しなかった市町村では増加した。また,「歯科医師を講師に迎えての研修会・講演会」,「歯科保健を議題・課題にするような会議」を除く 7 つの歯科保健事業については,それらを実施した市町村,実施しなかった市町村ともに医療費が減少したが,実施した市町村の減少のほうが大きかった。総医療費についても似た傾向であった。歯科保健事業実施数が 3 以上と 2 以下の市町村に分け,メタボリックシンドローム関連疾患医療費の増減を年代別にみると,ほとんどの年代で歯科保健事業実施数が 3 以上の市町村の方が医療費の増加が低く,加齢に伴い差が広がっていた。人口密度の高い地域と低い地域に分けて分析しても歯科保健事業実施数が 3 以上の市町村の方が医療費の増加が抑えられていた。<br/>考察 歯科保健事業とメタボリックシンドローム関連疾患の医療費との直接の関係はいえないが,歯科保健事業を実施するような市町村ではメタボリックシンドローム関連疾患の医療費が減少する傾向にあった。今後さらに歯科保健に関係する事業を調査し,歯科の分野から医療費削減に貢献する可能性を検討したい。<br/>結論 歯科保健事業を多く実施している市町村はメタボリックシンドロームに関連する疾患の 1 人当たり医療費がより抑制する傾向にあった。

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参考文献 (23)*注記

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