食育ネットワーク形成における参加グループの課題共有のプロセス 「S 食育ネット」の事例

書誌事項

タイトル別名
  • Processes of sharing issues among participating groups in the form of a food and nutrition education network: The case of the 「S Network」
  • ショクイク ネットワーク ケイセイ ニ オケル サンカ グループ ノ カダイ キョウユウ ノ プロセス S ショクイク ネット ノ ジレイ

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説明

目的 ネットワーク形成における課題共有のプロセスを検討し,そこで組織コミットメントがどのように形成されるかを確認する。<br/>方法 1. 食育ネットワーク形成のプロセス:保健所管内行政栄養担当者の話し合い,J 大学教員との検討後,食の特徴をふまえた課題共有ができるよう“A:主に食情報の提供を行うグループ”,“B:主に食物の提供を行うグループ”,“C:AB 両方の活動を行うグループ”の参加を促し,ABC 同士が接点をもてる場を設定した。具体的には地域への公開活動を 2 回,有志による活動が 8 回行われた。第 1 回目の地域への公開活動で,食育で育てたい力について確認し,有志による活動で,課題の整理・分類を基にした組織間連携の可能性を検討し,その成果をフィードバックするかたちで第 2 回目の公開活動でワークショップを行った。<br/> 2. 問題共有のプロセスの分析:2003年から2006年までの一連の食育ネットワーク形成にかかわった組織,活動プロセス,内容,参加者の作業,発言を著者らが記録した。記録内容を課題別に分類し,類似するものをまとめ特徴的な内容にタイトルをつけて系時的に位置づけ,プロセスを確認した。さらに,結果を基にして,食育ネットワーク形成の全プロセスに携わった参加者自身による振り返りで態度の変化を考察した。<br/>結果 1. 地域への公開活動には34団体63人が参加した。地域の食の課題には,多様なライフスタイルの中で食生活が揺らいでいる,食知識・体験の不足により,つくる・食べる・伝承する行動に問題がある,情報が氾濫しているがその調整がないことが示された。また,食の課題に対して参加組織各々が異なる活動をしていること,さらに,活動の不十分さや不得意さを認識でき,連携の可能性が確認された。<br/> 2. 問題共有のプロセスは 3 段階であった。地域の食の課題の確認,食の課題をめぐるグループ活動の個性の明確化,各グループ同士の連携の可能性である。ネットワーク形成の全プロセスに参加した 3 人の態度を分析した結果,他の組織活動への関心,他の組織との共感があげられた。<br/>考察 課題共有をすすめた活動には,初期段階から食の特徴をふまえた課題の共有ができるように支援したこと,課題の特定,課題の分析,活動の選択という流れを一度行った後に,成果の確認およびフィードバックする形で地域への公開活動での検討を重ねることが,参加者同士の信頼を生み,かつ,参加者個人の態度変容が促されるのではないかと考えられた。

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参考文献 (26)*注記

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