禁煙支援者の技術レベルと禁煙支援効果の分析

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タイトル別名
  • Effects of skill level on individual behavioral counseling for smoking cessation
  • キンエン シエンシャ ノ ギジュツ レベル ト キンエン シエン コウカ ノ ブンセキ

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抄録

目的 禁煙成功に関連する要因は,喫煙者側の要因は検討されているが,禁煙を支援する側の要因は検討されていない。本研究では,支援者の禁煙支援技術が禁煙にどう影響を及ぼすか分析した。<br/>方法 全国の 6 職域において,1998年 1 月~99年 9 月に健診を受診し,支援者から禁煙支援を受けた喫煙者858人を対象者とした。禁煙の支援者は23人であった。対象者に呼気 CO 濃度,尿中ニコチン代謝物測定とそのフィードバックを行い,支援者による禁煙支援を行った。禁煙開始日を設定した者には,電話によるフォローアップを 3 か月間で 4 回行った。追跡調査として 6 か月,1 年後にアンケート調査を行い,禁煙していると答えた者には,呼気 CO 濃度測定もしくは家族や同僚の証言により禁煙を確認した。評価指標は,6 か月後時点で 7 日以上禁煙している「6 か月後断面禁煙率」と,1 年後時点で 6 か月以上禁煙している「1 年後継続禁煙率」の 2 つを設定した。支援者の禁煙支援技術評価は,模擬喫煙者に禁煙支援を行い,その様子をビデオテープに撮影し,評価項目に従って評価,点数化した。技術レベルの違いによる禁煙支援効果を検討するため,支援者を禁煙支援技術評価の点数(0-24点)により,技術レベルを低群(0-14),中群(15-17),高群(18-24)に分け,技術レベルとその効果の関係を分析した。<br/>結果 支援者を技術レベル別にみると,低群 4 人,中群11人,高群 8 人となり,各技術レベル群が禁煙支援を行った喫煙者数は,低群190人,中群344人,高群324人となった。6 か月後断面禁煙率は,低群2.1%,中群4.7%,高群7.4%(累積 χ2 検定 P<0.01),1 年後継続禁煙率は,低群1.1%,中群3.2%,高群4.6%(P<0.05)であった。多重ロジスティック分析の結果,低群と比較した中群の 6 か月後断面禁煙率および 1 年後継続禁煙率のオッズ比は,各々2.33 (95%CI: 0.75-7.28), 3.07 (0.65-14.54)であった。低群と比較した高群のオッズ比は,各々3.66 (1.21-11.04), 4.86 (1.06-22.28) であった。さらに,支援者の技術レベル以外の特性を補正することを目的にマルチレベル分析を行ったが,多重ロジスティック分析とほぼ同様の結果となった。<br/>結論 支援者の禁煙支援技術レベルが高いほど,より高い禁煙支援効果が得られることが示された。

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