低栄養と介護保険認定・死亡リスクに関するコホート研究 鶴ヶ谷プロジェクト

  • 東口 みづか
    東北大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学分野
  • 中谷 直樹
    東北大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学分野
  • 大森 芳
    東北大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学分野
  • 島津 太一
    東北大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学分野
  • 曽根 稔雅
    東北大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学分野
  • 寳澤 篤
    滋賀医科大学社会医学講座福祉保健医学
  • 栗山 進一
    東北大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学分野
  • 辻 一郎
    東北大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Malnutrition and the risk of long-term care insurance certification or mortality A cohort study of the Tsurugaya project
  • テイエイヨウ ト カイゴ ホケン ニンテイ シボウ リスク ニ カンスル コホート ケンキュウ ツルガヤ プロジェクト

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抄録

目的 介護保険認定および死亡リスク予測の観点から,血清アルブミン値を特定高齢者の決定基準として用いる場合の基準値の妥当性を検討すること。<br/>方法 仙台市宮城野区鶴ヶ谷地区の70歳以上住民に対し,高齢者総合機能評価「寝たきり予防健診」を平成15年に行った。受診者のうち,同意が得られ介護保険認定非該当であった者832人を対象とした。血清アルブミンの基準値について,3.5 g/dL から4.0 g/dL までの範囲で0.1 g/dL ごとに基準値を変化させて,各基準値以下群の介護保険認定および死亡リスク(Cox 比例ハザードモデルにより算出),該当率,感度,特異度,陽性反応適中度を算出し,基準値間で比較検討した。<br/>結果 3 年間の追跡調査で,介護保険認定者111人,死亡者33人を確認した。重複者を除いた合計は130人であった。介護保険認定および死亡リスクは,血清アルブミン値3.5 g/dL から4.0 g/dL の基準値すべてで有意に上昇した。各基準値の該当率は,3.5 g/dL で1.3%, 3.8 g/dL で9.6%, 4.0 g/dL で29.6%であった。感度は3.5 g/dL で5.4%, 3.8 g/dL で18.5%, 4.0 g/dL で45.4%であった。特異度は3.5 g/dL で99.4%, 3.8 g/dL で92.0%, 4.0 g/dL で73.4%であった。陽性反応適中度は3.5 g/dL で63.6%, 3.8 g/dL で30.0%, 4.0 g/dL で24.0%であった。血清アルブミン値3.8 g/dL を基準値とした時の,最大 3 分位群(4.4 g/dL 以上)を reference とした場合の性・年齢補正ハザード比(95% CI)は,基準値以下群(3.8 g/dL 以下)で2.1(1.1-3.9),最小 3 分位群(3.9-4.1 g/dL)で1.5(0.9-2.5),中間 3 分位群(4.2-4.3 g/dL)で1.0(0.6-1.7)であった。<br/>結論 該当率および感度,特異度の点から,血清アルブミン値3.8 g/dL を基準値とすることの妥当性が示唆された。

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参考文献 (15)*注記

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