精神障害者の地域移行における住居確保に関する市区町村の支援状況

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タイトル別名
  • Municipal housing support for people with mental disabilities to facilitate transition from an institutional to community setting
  • セイシン ショウガイシャ ノ チイキ イコウ ニ オケル ジュウキョ カクホ ニ カンスル シクチョウソン ノ シエン ジョウキョウ

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抄録

目的 精神障害者の住居確保に関する市区町村自治体の支援体制の実態を明らかにする。<br/>方法 2008年 9 月,1,805市区町村の障害福祉所管課(精神障害者担当課)に対してアンケート用紙を送付し,返信のあった1,141通に対して集計,解析を実施した。調査内容は「精神障害者の住宅確保に関する支援」,「精神障害者への金銭援助」および「精神障害者の保健福祉に対する障害福祉所管課の認識」であった。回収率は63.2%であった。<br/>結果 保証人がいない者に対応する制度がある自治体は7.0%,住宅確保の負担軽減の取り組みがある自治体は17.7%で,取り組みの内容は住宅に関する相談場所の設置が多かった。行政から不動産業者や賃貸者に対してアプローチを行っている自治体は5.0%であった。生活保護を受けている精神障害者に身体障害者に適用される特別基準額を支給している事例がある自治体は12.9%,家賃等の一部に充当する金銭補助を行うなど,住宅を確保するために金銭援助を行う制度がある自治体は2.5%であった。地域移行を希望する精神障害者の数や実際の地域移行の状況が把握されていない自治体は52.9%,精神障害者が居住する住宅のアメニティについて「単身者,一般市民住宅水準と同等程度のアメニティが望ましい」とした自治体が64.9%,地域住民に対して障害者に抱いているネガティブなイメージを適切なものに変えてゆくアプローチを行っている自治体は41.4%であった。精神障害者の住居確保についての施策方針は,48.6%の自治体が「地域内での集住」であり,「一般近隣住民の中で自立して暮らしていく」は28.9%の自治体にとどまった。行政内での障害福祉部門と他部門との連携の状況は,「保健福祉を越えて必要な部門との連携はとれている」とした自治体は25.5%であった。<br/>結論 住居確保に対する市区町村自治体の取り組みは,全国的に見ると萌芽的な状態にある。各自治体において,系統的な住居確保政策の立案がなされることが望まれる。

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参考文献 (15)*注記

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