中国東北部に在住の朝鮮族と漢族の要介護高齢者の介護者の介護負担感に影響する要因

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タイトル別名
  • Factors affecting burden of caregivers for the elderly of Han Chinese and the Korean Minority living in a community in northeast China
  • チュウゴク トウホクブ ニ ザイジュウ ノ チョウセンゾク ト カンゾク ノ ヨウ カイゴ コウレイシャ ノ カイゴシャ ノ カイゴ フタンカン ニ エイキョウ スル ヨウイン

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抄録

目的 中華人民共和国(以下中国)では,急速な高齢化,一人っ子政策,社会保障制度の未整備等のため,介護者は大きな負担を抱えていると思われる。56の民族がいる中国では,介護負担感に関する研究がいくつか報告されているが,各々の民族が持っている独自の伝統・習慣・文化や高齢者の介護の方法が異なっているにも関わらず,民族の違いによる介護負担感に関する研究は報告されていない。中国の朝鮮族および漢族における在宅要介護高齢者の介護者の介護負担感を比較し,介護負担感に影響する要因を明らかにすることを目的とした。<br/>方法 中国延吉市に在住の在宅要介護高齢者と主介護者76組(朝鮮族52組,漢族24組)を対象に,質問紙を用い,訪問調査と留め置き方式を併用した。要介護高齢者に対しては,属性,経済状況,日常生活動作(ADL),認知機能(Mini-Mental State Examination: MMSE),認知症の周辺症状,生活満足度等を調査し,主介護者に対しては,属性,一日の介護時間,健康状態,ソーシャルサポートの状況,介護の適任者,在宅介護の継続意思,Zarit 介護負担尺度(Zarit caregiver Burden Interview: ZBI)等を調査した。<br/>結果 漢族は朝鮮族と比較し,ZBI 総得点の中央値である33点以上の「高負担感」群の割合(70.8%)および personal strain 得点(24.5±6.9)が朝鮮族より有意に高かった。介護の適任者として,漢族では「子供」,朝鮮族では「配偶者」と回答した介護者の割合が高く,主介護者が子供の場合,漢族は朝鮮族より介護負担感が高く,主介護者の属性により介護負担感に違いが見られた。介護負担感に影響する要因を各群で検討した場合,朝鮮族では,要介護高齢者の認知症の周辺症状,ADL,障害老人の日常生活自立度,主介護者の性別と健康状態,続柄,一日の介護時間,副介護者数,冠婚葬祭時・病気時の介護代替者および近所の援助の状況であった。漢族では,高齢者専用の部屋の有無,家庭の経済状況,高齢者の生活満足度であった。朝鮮族と漢族共に,約80%の介護者は在宅で介護を継続する意思が有り,約60%の要介護高齢者は施設入所に対して仕方がないか良くないと回答した。<br/>結論 両民族ともに,介護者の約80%は在宅で介護を継続する意思があるが,介護負担感の影響要因は異なることから,今後,民族の特性に応じた高齢者や介護者の支援対策が望まれる。

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