化学療法を施行中の進行肺がん患者における身体活動に対する自律性とセルフ・エフィカシー

  • 原田 和弘
    日本学術振興会 早稲田大学スポーツ科学学術院
  • 平井 啓
    大阪大学大学院医学系研究科 大阪大学大型教育研究プロジェクト支援室
  • 荒井 弘和
    法政大学文学部心理学科
  • 所 昭宏
    国立病院機構近畿中央胸部疾患センター心療内科

書誌事項

タイトル別名
  • Autonomy and Self-Efficacy of Physical Activity in Advanced Lung Cancer Patients during Chemotherapy
  • カガク リョウホウ オ シコウ チュウ ノ シンコウ ハイ ガン カンジャ ニ オケル シンタイ カツドウ ニ タイスル ジリツセイ ト セルフ ・ エフィカシー

この論文をさがす

抄録

本研究の目的は、入院で化学療法を施行中の進行肺がん患者を対象として、身体活動に対する自律性とセルフ・エフィカシーが、実際の身体活動と心理的適応の関連要因であるかどうか検討すること、および、これらの変数の相互関係が、全身活動状態の程度によって異なるか検討することであった。書面同意が得られた、化学療法を施行中の進行肺がん患者(合計9名)を対象に、7日間、調査を実施した。加速度計(ライフコーダEX)を用いて、7日間の歩数を測定した。また、調査開始時と、調査開始後7日後に、心理的適応(不安・抑うつ)、身体活動に対する自律性、身体活動に対するセルフ・エフィカシーについて質問紙調査を実施した。質問紙調査と平行して、対象者の全身活動状態について、研究者3名による評価を行った。全身活動状態が7日間で悪化した患者群(n=4)においては、身体活動に対する自律性と不安との間に有意な相関関係が(r=0.97, p<0.05)、また、身体活動に対するセルフ・エフィカシーと抑うつとの間に相関傾向が認められた(r=0.93, p<0.10)。一方、全身活動状態が7日間で変化しなかった患者群(n=5)においては、これらの相関関係は認められなかった。また、自律性およびセルフ・エフィカシーと身体活動量との関連は、両患者群において明らかとはならなかった。以上の結果から、全身活動状態が悪化した患者においては、身体活動に対する自律性やセルフ・エフィカシーが高いほど、心理的適応が良好である可能性が示された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ