細胞から臓器へ,再生医療研究が拓く近未来像

  • 武部 貴則
    横浜市立大学大学院医学研究科臓器再生医学
  • 谷口 英樹
    横浜市立大学大学院医学研究科臓器再生医学

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細胞から臓器を創る,再生医学の最も大きな挑戦ともいえる,この試みが現実味を帯びてきた.1981 年に個体を構成するすべての細胞への分化が可能な胚性幹細胞が発見されたことにより,神経細胞や膵b 細胞などB細胞Cの分化誘導を目指す細胞操作技術がつぎつぎと開発されてきた.分化誘導された機能細胞を移植することにより,パーキンソン病や糖尿病などに対する治療応用が期待されている.しかし,肝細胞移植と肝移植の臨床的有効性を比較すれば明らかになるように,一部の例を除くと,B細胞Cを利用するというコンセプトには医療技術としての限界がある.臓器移植に代わる次世代の再生治療を提供するためには,生体内と同様に複数種の細胞から構成される三次元的なB組織・臓器Cの再構築が必要と考えられている.本稿では,人工誘導性多能性幹細胞(iPS 細胞)の発見以降,飛躍的発展がみられている複雑な組織・臓器の再生医療研究についてレビューする.

Journal

  • Organ Biology

    Organ Biology 19 (1), 113-115, 2012

    The Japan Society for Organ Preservation and Biology

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