腹腔鏡下根治的前立腺全摘除術におけるトラブルシューティング

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  • フククウキョウ カ コンジテキ ゼンリツセン ゼンテキジョジュツ ニ オケル トラブルシューティング

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腹腔鏡下根治的前立腺全摘除術(LRP)における主な術中合併症は,直腸損傷,血管損傷,神経損傷,尿管損傷,小腸損傷等があるが,その損傷程度は開腹手術に比べ比較的小さいものが多く,その多くは腹腔鏡下に修復できる可能性が高い.当院では,直腸損傷,尿管損傷,小腸損傷を経験したが,いずれも鏡視下に術中修復を行い問題なく経過した.その経験を踏まえLRP術中合併症への対処法 および予防策について解説する.<br> 直腸損傷に関しては,術中に認識できるか否かがとても重要であるが,そのほとんどは腹腔鏡下に修復可能である.軽度の損傷であれば,前立腺の遊離を先行させた後,吸収糸による2層縫合を行う.<br> 尿管損傷に関しては,前立腺の肥大が強い症例や拡大リンパ節郭清を行う際に注意が必要となる.尿管の損傷部位と程度によって修復法が異なる.軽度の損傷であれば,尿管ステント留置や単縫合,完全断裂であれば端々吻合または膀胱尿管新吻合を考慮する.<br> 小腸損傷に関しては,当科ではカメラポート挿入(open laparotomy)の際に経験した.創を少し延長し腸管を体外に出して直視下に修復を行った.<br> 閉鎖神経損傷に関しては,完全断裂であれば専門医に相談の上神経端々吻合を考慮するが,術後の神経障害に対しては対症療法が中心となる.<br> 術中に起こりうる合併症を念頭に入れておき,万が一トラブルが起こった場合にも十分に対処できる技術力と判断力を身につけておく必要がある.

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