重症外傷患者における搬入時のD-dimer高値はフィブリノゲン値に関係なく予後不良を示唆する

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  • HIGH D-DIMER LEVELS PREDICT A POOR OUTCOME IN PATIENTS WITH SEVERE TRAUMA REGARDLESS OF FIBRINOGEN LEVELS : A RETROSPECTIVE COHORT STUDY

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 目的 : 外傷急性期におけるフィブリノゲン (fibrinogen, 以下Fbg) 低値は予後不良を示唆する. D–dimerは線溶亢進の指標であり外傷重症度を反映するが, 予後予測におけるFbgとの関係は明らかにされていない. 今回, 搬入時のD–dimer高値がFbg値に関係なく予後不良を示唆する可能性を検証した. 方法 : Japanese Observational Study for Coagulation and Thrombolysis in Early Trauma (J–OCTET) データベースを用いて, 来院24時間以内における10単位以上の赤血球輸血, もしくは24時間以内の死亡を転帰不良と定義した. ROC曲線を用いて, 搬入時のFbg値とD–dimer値の転帰不良に対する閾値を求め, その閾値に基づいた群分けを行い比較した. 結果 : 転帰不良に対する閾値はFbg=190 mg/dLとD–dimer=38 mg/Lであった. この閾値に基づき, (1)D–dimer低値/Fbg高値, (2)D–dimer低値/Fbg低値, (3)D–dimer高値/Fbg高値, (4)D–dimer高値/Fbg低値の4群に分けた. (4)群の生存率は他の3群よりも有意に低値であった. (3)群の生存率は, (1)群および(2)群の生存率よりも有意に低値であった. 結語 : ISS16以上の成人重症外傷においては, 搬入時のD–dimer高値は, Fbg値に関係なく, 予後不良の予測因子である.

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