精神性発汗に対する温熱刺激の影響

書誌事項

タイトル別名
  • EFFECTS OF THERMAL STIMULATION ON EMOTIONAL SWEATING
  • セイシンセイ ハッカン ニ タイスル オンネツ シゲキ ノ エイキョウ

この論文をさがす

抄録

目的: 生理学の教科書では, 手掌の発汗は精神性発汗, 肘窩の発汗は温熱性発汗であると記されている. しかし, 冷涼環境下で手をつないでも汗はかかないが, 暑熱環境下では汗ばむことはしばしば経験する. 本研究では, 暑熱が精神性発汗に及ぼす影響をみるために, 冷涼環境下および暑熱環境下において様々な負荷を与えて, 手掌および肘窩における発汗の変化を検討した. 対象と方法: 健康な医学部学生・スポーツ健康科学部学生7名を被験者とした. 冷涼環境下 (16℃) ・暑熱環境下 (28℃) に設定された人工気候室にて, 被験者の利き手とは逆の手掌母指球 (手掌発汗) と同側肘窩中央部 (肘窩発汗) に発汗計を装着した. 精神性発汗量の計測には, 各課題 (暗算, 豆運び, パズル, 「ハードボール」と「ソフトボール」のボール握り) 実施時の最大発汗量と全体発汗量の平均を採用した. 結果: 肘窩では冷涼環境下での平均発汗量は全測定時間を通してほぼゼロであったのに対し, 暑熱環境下では全体に高い値を示した. 手掌の発汗は安静時には環境温度の影響を受けなかったが, 暑熱環境下でも冷涼環境下でも課題遂行時に明らかな上昇を示した. しかも平均発汗量は, 冷涼環境下に比して暑熱環境下においてすべての課題遂行時には有意に高い値を示した. 結論: 暑熱環境下では健常者の手掌の精神性発汗が増加した.

収録刊行物

参考文献 (2)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ