厚生連医療材料共同購入委員会・人工透析専門部会に参加して

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  • ~当院の5年間の成果と今後の期待~

抄録

【はじめに】<BR>  人工透析医療を取り巻く環境は年々厳しさを増している。診療報酬の引き下げ、DPCの導入、原材料の高騰による医療材料の値上げ等があげられる。そのような環境の中、いかに医療材料(いいもの)を安価にて購入するかが透析経営の鍵になっている。包括医療の代表的な人工透析分野にて日本文化連が仲介に立ち、全国厚生連臨床工学技士を集め、「医療の質の向上」・「経済的メリットの実現」・「情報交換と技術の交流」を目的に全国医療材料共同購入委員会人工透析専門部会という組織を2002年4月に立ち上げた。<BR> 【目的】<BR> 日本文化厚生農業協同組合連合会・医療材料共同購入委員会・人工透析専門部会に参加し5年が経過した。共同購入による当院の5年間の経済効果の推移及びそれによる「透析の質」の変化等について調査し、一厚生連施設の経済成果と今後の人工透析部会のあり方について検討を行った。<BR> 【対象及び方法】<BR> 透析医療材料の経済効果評価には代表的な材料であるダイアライザ(人工腎臓)、血液回路、留置針を対象とし、2002年度からの平均単価削減率・年間削減金額の推移を検討した。また、「透析の質」の評価は会員厚生連病院24病院で共同研究プロジェクトを実施し、2004年9月から2006年8月までの2年間でプロジェクトの基準を満たす440名の患者に対して後ろ向き調査を実施。BMI、抗凝固剤量、各種血液検査データ、Kt/V、%クレアチニン産生速度、nPCRなどの厚生連施設データを日本透析医学会の統計調査委員会・報告データと比較検討を行った。<BR> 【結果及び考察】<BR> 経済効果として、01年度の発足前の価格を100%として、05年度の平均単価削減率はダイアライザ68.3%、血液回路79.3%、留置針57.4%となり、05年の経済効果はダウン率で31.7%、金額で9,166千円となった。また、5年間の総削減金額は19,987千円であった。<BR> 臨床効果に関しては日本透析医学会と比較し、全体として主要血液検査項目のクリアランス、Kt/V、%クレアチニン産生速度が高いなど、患者QOLにとって良い方向を示すことができ、共同購入による不安の一つであった質の低下はなく、むしろ厚生連病院の「質の良さ」を認めることができた。<BR>今回、共同購入をきっかけに、全国の厚生連臨床工学技士が集まり多施設共同研究を行う程、まとまりのある組織になった。「情報の交換や技術の交流」と経済効果以上の収穫があった。<BR> 今後の目標としては会員厚生連施設を増やし、更なる大規模な共同研究を行い、透析医療の発展に貢献することと、厚生連という全国にある組織を生かした活動ができればと思われる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205517216000
  • NII論文ID
    130006943786
  • DOI
    10.14879/nnigss.56.0.148.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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