効果的な安全帯の開発を試みて

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抄録

〈はじめに〉当病棟では神経内科の患者を中心に意識障害などの理由で、生命が危険にさらされないために安全帯を使用する必要がある患者が月平均3~6名程入院されている。点滴ルートを外す、胃管カテーテルを抜く、オムツを外す、酸素吸入を外す、自分自身を叩く、ベッドから降りようとするなどの理由から安全帯を使用している。医療施設内で看護を展開する上で患者や家族の安全を配慮し、事故防止に心がけることは看護職として当然の責務である。そのため、現在でも安全帯の改良が繰り返されている。しかし、私たちが今まで使用してきたメガホン帯では患者の力が強かったり、手首のサポーター部分が緩み指先がメガホン帯の先端から出たり、様々なアクシデントが発生していた。そこで、今まで使用してきた既製品と私たちが試作した患者自身で外しにくい安全帯を開発したのでここに報告する。<BR> 〈方法〉1)倫理的配慮、研究対象者(代理人)にこの研究の目的を説明した後、この研究に参加していただけるか確認し、同意書を記入して頂く。また、安全帯使用に関して医師の説明の上、同意を得る。<BR> 2)対象:脳血管障害があり、安全帯を使用している患者34名 方法:観察項目記入用紙作成。試作品検討・作成。<BR> 3ケ月間毎に既製品と試作品を使用し、安全帯使用状況の観察を行った。また、試作品に関しては、安全を考慮し使用時間は2時間とした。<BR> 〈結果および考察〉試作品は既製のミトン帯に約8cm幅の綿製の紐を縫い付けたもので、ミトンの部分は手背側手掌側が両方メッシュになっており通気性に配慮することができた。手掌側にはプラスチック製のうちわの骨組みを入れ、手を握ってもチューブなどを掴めない工夫をした。手首には弾性包帯で作ったアームバンドを縫い付け既製品よりもミトン自体が外れないように工夫した。結果として、試作品、既製品ともに自己抜去は見られなかった。<BR> 皮膚の変化に関して、浮腫、傷、チアノーゼは既製品、試作品共に見られなかった。湿潤、発汗は既製品のみに見られたが、その原因は,患者の熱発によるものであり安全帯使用によるものではなかった。発赤は、既製品のみに見られたが、この原因は、安全帯の着用が正しくできておらず、緩みが生じ摩擦によって発赤を発生させてしまったと考えられる。さらに、安全帯を正しく着用できていないことが原因で試作品には緩みを生じることがあった。これらのことから、スタッフが、統一した安全帯の管理・使用方法を習得しておくことがいかに重要であるか認識できた。<BR> 既製品の悪臭が多く見られたのは、定期的な交換・洗濯が実施されていなかったこと、手浴などのケアが計画的に行われていなかったことが原因であると考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205517306240
  • NII論文ID
    130006943916
  • DOI
    10.14879/nnigss.56.0.175.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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