高齢、若年発症の劇症1型糖尿病の2症例の検討

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説明

〈症例〉症例1は,71歳男性。現病歴として,高血圧,脳<BR> 梗塞後遺症のため,当院外来に通院され,内服治療で安定<BR> して経過していた。平成20年6月13日になり,発熱,口<BR> 渇,多飲,多尿,全身倦怠感が出現するようになったため<BR> 当院受診した処,BS1,132mg/dl,HbA1c6.3%,尿ケト<BR> ン体3+,代謝性アシドーシスを認めた。血清アミラーゼ<BR> 923IU/L と異常値を認めた。抗GAD 抗体,抗IA―2抗体,<BR> 抗インスリン抗体は陰性,S-CPR0.58ng/ml,U-CPR<<BR> 0.8μg/day,グルカゴン負荷テストは,低反応であり,劇<BR> 症1型糖尿病と診断した。HLA-DNA タイピングでは,<BR> DRB10405,DQB10401と劇症1型糖尿病の疾患感受性遺<BR> 伝子を認めた。症例2は,25歳女性。2子出産10ヶ月後の<BR> 平成21年3月26日になり,嘔気,口渇,多飲,多尿,全身<BR> 倦怠感が出現するようになったため当院受診した処,BS<BR> 462mg/dl,HbA1c6.1%,尿ケトン体4+,代謝性アシ<BR> ドーシスを認めた。血清アミラーゼ213IU/L と高値を認め<BR> た。抗GAD 抗体,抗IA―2抗体,抗インスリン抗体は陰<BR> 性,S-CPR<0.03ng/ml,U-CPR<5.1μg/day,グルカゴ<BR> ン負荷テストは,低反応であり,劇症1型糖尿病と診断し<BR> た。HLA-DNA タイピングでは,DRB10401,1302,DQB<BR> 10302,0604と劇症1型糖尿病の疾患感受性遺伝子と異な<BR> り,自己免疫性1型糖尿病の疾患感受性遺伝子を認めた。<BR> 〈考察〉当院の劇症1型糖尿病の2症例の検討では,どち<BR> らも報告されている劇症1型,自己免疫性1型糖尿病の疾<BR> 患感受性遺伝子を保有しており,糖尿病の家族歴は共にな<BR> いが,劇症1型糖尿病の発症に遺伝子的な素因が深く関与<BR> していると考えられた。<BR>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205517422080
  • NII論文ID
    130006944048
  • DOI
    10.14879/nnigss.58.0.54.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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