介護予防事業における”パズル式あかね積木”の有用性について

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抄録

[はじめに]豊田市の山間部の足助地区では、介護予防事業(はつらつクラブ)の認知予防プログラムとして、パズル式あかね積木(パズル積木)が導入されている。3年間の活動状況を報告する。<BR> [対象と方法]介護予防事業としてスタートしたH17年よりH20年までに、延べ153名(男子20名、女性133名)が参加した。また、3年間継続して参加した人は46名(全て女性)であった。<BR> 今回は利用状況としての参加者の事業開催日数に対する出席日数の割合(出席率)と、遊ぶために選んだ積木パズルの種類(選択率)に焦点を当て集計解析した。統計プログラムはSPSS 15.0 を用いた。<BR> [結果]参加者153名の平均年齢は81.4±6.0歳(65~95歳)で、65~74歳が占める割合は23名(15%)、75~84歳は79名(52%)、85歳以上は51名(33%)であった。また90歳以上は12名(7.8%)が在籍していた。出席率はH17年が82.5%、H18年が85.5%、H19年が86.4%で、3年間の平均出席率は84.4%であった。<BR> 3年間継続した参加者の出席率は各年度とも上述よりも3~4ポイント高かった。年齢区分においても差は認められず、90歳以上(4名)でも平均90.0%と極めて高かった。<BR> パズル積木の種類には、入門的な“シースー”を始めとした11種類がある。1通りから10万通り以上の組み替え遊びに、難易度が加わることにより、自主性や挑戦意欲、達成感等が引き出せるように工夫されている。<BR> パズル積木の各種類の選択率の経年変化を図1に示した。導入時のH17年度は“シースー”の選択率が50%を超えていたが、翌年からは他の種類の選択率が増え、H19年度には14%まで低下した。増加したのは、シースーと関連性のある“あっちっち“、あるいは関連がなく難易度が増した種類という2つの方向が選択されていた。また、種類の選択における年齢による差は認められず、90歳以上の人でも同様であった。認知症との関連について‘かなひろい’と‘MMS’を用いて検討を加えたが、どちらの点数の平均値も経年的に若干上昇気味で推移した。<BR> 参加者と担当者の反応についてまとめると、参加者からは高い支持の声と、担当者からは事業にかかる準備などの負担が軽減出来る等の評価が報告された。<BR> [考察およびまとめ]パズル積木(多種類)が、担当者の適切な支援により、年齢を問わずに、参加者を飽きさせずに楽しませて、3年間の高出席率につながっていることが推察される。今後は、更に認知症等との関連も検討していきたい。<BR> 図1 パズル積木の各種類の選択率の経年変化<BR>

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  • CRID
    1390001205517596544
  • NII論文ID
    130006944187
  • DOI
    10.14879/nnigss.57.0.225.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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