胃瘻部周囲のスキンケア
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- 仙田 安子
- 江南厚生病院
書誌事項
- タイトル別名
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- こよりティッシュを用いて
説明
1.研究目的 当病棟では、胃瘻部周囲のスキンケアとして、瘻孔周囲を微温湯で洗浄していた。しかし、瘻孔部からの滲出液が衣服に付着したり、発赤,痂皮,出血,糜爛などのスキントラブルを起こすこともあった。施設,在宅では、安価で手軽にできる理由からスキンケアの方法として、こより状にしたティッシュペーパーをチューブの周囲に巻く方法を取り入れていることを知り、実際にティッシュこよりを使用してどの程度のスキントラブルが改善できるのか、交換頻度はどのくらいが適当かを検証するため、この研究に取り組んだ。 2.研究方法 1)期間:平成19年6月~8月 2)対象:胃瘻を造設しており瘻孔周囲にスキントラブルがみられる患者5名 3)方法 (1)スキントラブル評価表に沿って1週間に1回チェックする。 (2)瘻孔周囲を微温湯で洗浄後、こよりの交換を1日1回行う。評価表のスコアが同じ又は1点でも上がればこよりの交換回数を増やす(最高6回までとする)。スコアが下がっても0点にならない限り、交換回数は同回数を継続する。ただしスコアが滲出液1点のみとなった時点でその時行っている交換回数を固定する。 (3)スコアが0点になった時はこよりを中止し、瘻孔周囲の洗浄のみを行い、1週間毎のチェックを継続する。 4)倫理的配慮 本研究の目的及び内容・得られた情報を研究以外の目的で使用しないことを書面で説明し、同意書をとり研究の承諾を得た。 3.結果 <事例A・B>1度スキントラブルが消失したにも関わらず、こよりを中止すると再度スキントラブルが出現した。最終的に滲出液が継続したため交換回数は1回で固定した。 <事例C>スキントラブルは改善したが、こよりの湿潤が継続し、交換回数を3回までに上げた。湿潤が消失するとスキントラブルも消失した。 <事例D>スキントラブルの出現・消失を繰り返し、こよりを使用しないと何らかのスキントラブルを起こした。交換回数は0回と1回を交互に繰り返した。 <事例E>スキントラブルが消失し、その後も瘻孔周囲の洗浄のみでスキントラブルが起こらなかった。 4.考察 今回の研究では、5事例すべてがこよりの使用により、瘻孔周囲の皮膚の発赤・痂皮が改善した。ティッシュには吸水・乾燥作用があり、こよりの使用を継続することで滲出液が吸収され、スキントラブルの改善ができたと考えられる。交換回数は0回~3回と個人差があった。これは瘻孔部からの滲出液の量には個人差があり、こよりの吸水・乾燥作用にも限界があるため、ティッシュの湿潤の程度に差が出た結果であり、交換回数を多くすることで瘻孔周囲の乾燥を保つことができたと思われる。 5.結論 こよりは吸水,乾燥,通気性に富み、瘻孔周囲の滲出液を吸収し、乾燥状態を保つことで発赤・痂皮のスキントラブルの改善に有効である。また、交換頻度は、瘻孔部からの滲出液の量には個人差があり、こよりの吸水・乾燥作用にも限界があるため、瘻孔周囲の乾燥状態を保つことができる回数が必要である。
収録刊行物
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- 日本農村医学会学術総会抄録集
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日本農村医学会学術総会抄録集 57 (0), 235-235, 2008
一般社団法人 日本農村医学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205517660800
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- NII論文ID
- 130006944275
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- ISSN
- 18801730
- 18801749
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可