医療材料の購買に関する意識調査について

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抄録

〈緒言〉近年高度化する医療とともに診療報酬包括化という環境変化は、DPCの導入という形で具体的に進んできており、こうした動きは近い将来厚生連病院への適用もあり得るものと考えておく必要がある。一方、病院経営に深く関わる購買業務は物品を安い価格で購入することが第一の目的ではあるが、メーカ等の売り込み、医師の好みや看護師の要望、感染管理や安全管理からの側面により、必要以上の物品が要求され、購買担当者は様々な問題を抱えていると想像する。こうした状況下、全国厚生連病院を対象に医療材料管理の実態と購買に関するアンケート調査を行ないその評価を試みた。<BR>〈方法〉アンケート調査は全国厚生連病院の内、100床以上の97施設を対象に郵送により実施した。(調査期間:平成16年12月15日から平成17年1月21日)。<BR>〈結果〉A.納品業者の選択基準に関して<BR>納品業者の事業概要、納入実績、納税証明書などにより業者の公正な選択を、している34%、していない64%。<BR>B.購入管理部門の現状に関して<BR>1.医療材料に関する知識、見識については、できる4%、どうにかできる51%、あまりできない45%。2.購買の中央化に関しては、できている26%、ほぼできている63%、できていない11%。3.類似銘柄品の統一又は物品の標準化に関しては、図っている60%、ある程度図っている40%。4.次年度の購入予算計画作成に関しては、している41%、していない21%、ある程度している38%。5.破損・期限切れによる除去資産の確認に関しては、確認している57%、していない11%、ある程度している32%。6.医師異動後の不動在庫処理に関しては、多い21%、少ない41%、どうにか使用38%。<BR>C.購入委員会での検討内容について<BR>1.製品の必要性の明確化に関しては、している74%、していない4%、ほとんどしていない22%。2.効率性の時間的検討に関しては、している59%、していない11%、ほとんどしていない30%。3.収益性、生産性の試算に関しては、している91%、していない2%、ほとんどしていない7%。4.採用後の使用満足感に関しては、している76%、していない4%、ほとんどしていない20%。5.廉価品の提供に関しては、している91%、していない2%、ほとんどしていない7%。6.製品の安全性に関しては、している96%、ほとんどしていない4%。7.廃棄物としての処理費用に関しては、している46%、していない11%、ほとんどしていない43%。8.審議内容の公開に関しては、している96%、していない2%、ほとんどしていない2%。<BR>D.共同購入に関して<BR>1.共同購入のスケールメリットによる高い値引率に関しては、思う61%、思わない11%、分からない28%。2.共同購入による業務の省力化に関しては、思う59%、思わない13%、分からない28%。<BR>〈まとめ〉購入委員会を設けている病院は多角面から製品選定を図っていることが伺われた。一方、事務局としては医療材料に関する知識・見識について十分とはいえる状況ではなかった。それ故に委員会参加者の合議が大切となる。その場合、資料として検討内容を視覚的に捉えられるチャート図を活用することが今後必要ではないかと示唆された。当院の場合、病院事務局と文化連事務局との間で購買情報に関するコラボレーションを行うことで購買情報の視覚化を図るとともに、購買委員会での効率の良い運営を可能とした。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205517722240
  • NII論文ID
    130006944353
  • DOI
    10.14879/nnigss.54.0.190.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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