異所性肺石灰化症の一例

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説明

<はじめに> 肺にびまん性に石灰化をきたす病態は、異所性肺石灰化症・異栄養性石灰化症等がある。異栄養性肺石灰化症は、肺結核・肺ヒスとプラズマ症・水痘などで、炎症・壊死などを示し障害された肺に石灰沈着を示す病態である。しかし異所性肺石灰化症は、正常な肺組織にびまん性に石灰沈着を示す病態である。<br> 今回我々は、臨床画像より異所性肺石灰化症と思われる症例を経験したので報告する。<br>(患者) 48歳 女性<br>(主訴) 呼吸困難・喀痰<br>(既往歴) 33年前、尿蛋白・血尿(+)ネフローゼと診断 その後、慢性腎炎<br> 25年前、妊娠中毒症<br> 22年前、腎炎悪化によりシャント作製、透析開始<br>(家族歴)特記事項なし<br>(胸部x_-_p) 全体的に淡いすりガラス状<br>(胸部CT) 両側びまん性にすりガラス陰影を認めた。<br>(骨シンチ) 肺野にびまん性にRIの集積を認めた。<br><考察> 胸部単純写真で見られる所見としては、ほとんど変化がないかわずかにびまん性の肺胞影、すりガラス影、網状影や肺尖部の低濃度域、石灰化した結節影などであるが、胸部単純写真でこれらの異常所見が見られる頻度は低く、また肺水腫などの他の合併する病態との鑑別は困難であり、病変の検出には胸部CTが優れているといわれている。CT上の鑑別としては、過敏性肺臓炎や小葉中心性分布を示す経気道性感染、肺胞出血などが挙げられるが、骨シンチで肺への集積を認めれば診断は容易である。本症例では、長期透析患者であることや胸部単純写真で、肺全体に淡いすりガラス状陰影を認め、異所性肺石灰化症を強く疑い胸部CT、骨シンチを行なった。骨シンチで肺に著明な集積を認め、異所性肺石灰化症と診断した。<br><結語> 胸部単純写真より胸部CTは、すりガラス陰影の描出に優れているため有用であった。骨シンチでは肺への著明な集積が石灰化沈着をあらわしているため、異所性肺石灰化症の診断の決めてとなった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205518038912
  • NII論文ID
    130006944609
  • DOI
    10.14879/nnigss.55.0.358.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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