栄養アセスメント検査項目におけるCONUT法の有用性について

Description

<目的>近年、医療現場において栄養療法の必要性が重要視される中、当院においても療養型病床のみならず全入院患者を対象にNSTを拡大することになった。しかし、栄養評価のための検査項目は多くの種類がありすべて行うのは困難である。そこで、より経済的に効率よく栄養アセスメントを実施するために当院で実施されている検査項目の中でアルブミン(ALB)、総リンパ球数(TLC)、総コレステロール(T-cho)に着目しGonzalezらのCONUT法についてNSTの検査項目として使用可能か検討したので報告する。<BR><対象および方法>2005年8月から2005年11月までに当院検査室に依頼された検体で入院1週間以内にALB、TLC、T-choの3項目すべて依頼のあった195例、平均年齢76.7±15.7歳を対象とした。CONUT法の評価方法は、ALB、TLC、T-choにつきそれぞれ評点化しその合計で0-1を正常、2-4を軽度栄養不良、5-8を中度栄養不良、9以上を重度栄養不良と栄養不良レベルを判定した。検討方法として、CONUT法による栄養不良レベル分類と年齢との関係、従来のアルブミン値3.5以下をスクリーニングする方法(以下従来法とする)との比較、入院患者の転帰を調査し予後について検討した。なお転帰状況は、対象者を2006年2月末まで追跡調査し退院、入院中、療養型病床転棟、死亡の4種類に分類した。<BR><結果及び考察>CONUT法による栄養不良分類は、195例中正常53例(27.2%)、軽度66例 (3.8%)、中度53例(27.2%)、重度23例(11.8%)となり、何らかの栄養不良者は全体の72.8%だった。栄養不良レベル分類をCONUT法とCONUT法のALBのみで判定した場合との比較では、相関傾向がみられるもののCONUT法3項目による分類が1栄養不良レベル高く判定される例があり、特に正常、軽度にみられた。<BR> CONUT法分類と年齢の関係は、高齢になるにつれ栄養不良者が占める割合は増加し栄養不良レベルも中度、重度の割合が高くなる傾向が見られ、特に70歳以上における軽度以上栄養不良群は78.7%であった。<BR> 従来法とCONUT法より抽出された栄養不良者を比較すると従来法は、195例中110例(56.4%)、CONUT法では142例(72.8%)が抽出された。また両方法間には、従来法の栄養不良者群にCONUT法で正常レベルが8例含まれており、従来法の正常者群ではCONUT法で栄養不良レベルが軽度として40例が抽出された。<BR> CONUT法による栄養不良レベル分類と予後との関係は、死亡率では正常0%、軽度4.7%、中度32.1%、重度47.8%であった。また、CONUT法のALBが正常にもかかわらず、TLC、T-choにより46例が栄養不良例として抽出されており、その予後は退院90%、入院中2%、療養型病床転棟4%、死亡4%であった。<BR><結語>CONUT法での栄養不良レベルの判定は、ALB、T-cho、TLCの3項目を用い蛋白代謝、脂質代謝、免疫能を考慮することにより、従来のアルブミンのみでのスクリーニング法より栄養療法が必要な症例を抽出できることが示唆された。また、栄養不良レベルに分類でき予後をよく反映することよりそれぞれのレベルにおいて適正な栄養アセスメントが可能であると思われた。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205518083840
  • NII Article ID
    130006944680
  • DOI
    10.14879/nnigss.55.0.385.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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